この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「英会話を使う仕事に就きたいけど、自分にできるのか不安…」と感じていませんか?
【結論】 就労移行支援なら、未経験や障害特性があっても英会話の基礎から実務初級まで段階的に伸ばせます。目安は週3日×6か月程度で、定型のビジネスメール・電話の基本フレーズ・接客英語を自走できる状態を目標とします(学習頻度・既存スキル・体調により個人差があります)。
※対象外:同時通訳/高度翻訳/ネイティブ並の流暢さ
この記事では、就労移行支援で英会話を学ぶための**主要ポイントを網羅(24項目)**して答えます:
- 本当に学べるのか?未経験でも大丈夫か?
- 自分の障害特性でも受け入れてもらえる?緊張しやすくても大丈夫?
- どのレベルから始められる?TOEICスコアは必要?
- 費用はいくらか?利用条件は?
- どんな企業に就職できる?就職後の仕事内容は?
- 資格は取れる?在宅訓練は可能か? (その他、期間・カリキュラム・事業所の選び方・よくある失敗など)
読み終える頃には、「自分にもできそう」と具体的な行動イメージが湧いているはずです。
未経験・どのレベルから学べる?
結論: 未経験でも、TOEICスコアなしでも大丈夫です。
理由: 簡単なレベルチェック後、あなたの現在地から段階的に始めるためです。
例: 「I am」から始める初級、「ビジネスメール」から始める中級など、入口は複数。
- 利用者の多くが中学英語レベルからスタート
- 「Hello」「Thank you」から始めるコースもある
- 入学時のTOEICスコアは不要
- 簡単なレベルチェックで最適なコースを提案
- 初級・中級・上級クラスに分かれる事業所も
就労移行支援を利用する方の多くが、英語にブランクがある状態からのスタートです。「英語が全くできない」という方でも、中学英語の復習から始められます。逆に、ある程度英語ができる方は、ビジネス英語など実践的な内容から学習できます。
見学先で確認すべき点: 直近1年の未経験者比率、使用教材のレベル感、レベル別クラスの有無を質問しましょう。
英会話に向いている人・注意が必要なケース
こんな人におすすめ(3分適性チェック)
□ 英語や異文化に興味がある
□ 将来的に英語を使う仕事がしたい
□ コミュニケーション能力を高めたい
□ グローバルな環境で働いてみたい
□ 接客や人と関わる仕事に興味がある
□ TOEICなどの資格取得を目指したい
□ 語学学習が好き・継続できそう
上記のチェックリストで3つ以上当てはまれば、英会話はあなたに向いている可能性が高いです。特に「英語に興味がある」「継続できそう」という方は、本当に向いています。
注意が必要なケース
- 聴覚面の配慮が必要な方:字幕・文字中心・音声速度調整・静かな環境などで学習可能
- 対人コミュニケーションに強い不安がある方:まずはチャット・翻訳業務からスタートする選択肢も
- 短期間での習得を期待している方:語学は継続が重要(3ヶ月より6ヶ月、6ヶ月より1年で伸びます)
これらに当てはまっても、サポート次第で十分に学習可能です。事業所選びの際に配慮について相談してみてください。メール対応や翻訳業務など、別のアプローチもあります。
自分の障害特性でも受け入れてもらえる?
特性別の相性と配慮例
| 特性 | 相性 | 配慮例 |
|---|---|---|
| コミュニケーションに不安 | ○ | 文章→録音→会話の段階的練習 |
| 緊張しやすい | ○ | マンツーマン・録音練習 |
| 聴覚面の配慮が必要 | 工夫次第で可 | 音量調整・静かな環境・字幕/文字起こし |
| 集中の持続が難しい | ○ | 15分×3回など短時間学習 |
| 言語性学習に配慮が必要 | ○ | 視覚教材活用・文字起こし支援 |
| 過集中しやすい | ◎ | タイマー・休憩アラーム |
※配慮内容は事業所により異なります。見学時に具体策を一緒に設計してもらいましょう。
英会話は、コミュニケーションの練習にもなる分野です。苦手な部分については、支援員が一緒に対策を考えてくれます。まずはチャットや翻訳ツールを使った練習から始める方法もあります。
緊張しやすい・人前で話すのが不安でも大丈夫?
結論: 緊張しやすくても大丈夫です。マンツーマン → 少人数 → グループの順で進め、録音練習 → ロールプレイ → 実地の3手順で慣れていきます。強制はしません。
- 最初はマンツーマンレッスンから始められる
- オンライン英会話ツールでの個別練習
- 録音機能を使って何度でも練習可能
- 徐々に少人数グループ、クラス全体へとステップアップ
- 無理に人前で話すことを強制されない
多くの方が最初は緊張しています。支援員は、あなたのペースを尊重しながら、少しずつ自信をつけられるようサポートします。
学習内容と到達期間の目安
結論: 基礎→応用→実践の3段階で進み、各段階3〜4ヶ月程度です。
理由: 理解→操作→実務の順で、実践レベルまで段階的に到達するためです。
例: 3ヶ月で基礎文法・挨拶、6ヶ月でビジネスメール、1年で業務対応。
学習内容と使えるシーンの例
| 段階 | 期間目安 | 学習内容 | 使えるシーン |
|---|---|---|---|
| 基礎 | 1〜3ヶ月 | 中学英語の文法復習、基本的な挨拶・自己紹介、簡単な日常会話フレーズ、リスニング練習、発音の基礎 | 簡単な挨拶、基本的なメールが読める |
| 応用 | 4〜8ヶ月 | ビジネス英語の基礎フレーズ、電話応対の練習、英文メールの書き方、ロールプレイング(接客シーン)、TOEIC対策 | 電話応対の定型フレーズ、簡単なビジネスメール、接客英語 |
| 実践 | 9〜12ヶ月 | 実際の業務を想定した会話練習、企業実習での英語使用、プレゼンテーション練習、面接対策、ポートフォリオ作成 | 実務レベルの会話・メール対応、TOEIC500〜600点程度 |
【重要】 期間は学習頻度・既存スキル・体調・配慮内容により変わります。**”短期集中より継続”**が到達の近道です。最初は基礎から始まります。徐々に実践的な内容に進み、1年で就職レベルの英語力が身につきます(個人差があります)。毎日15分でも英語に触れることで、確実に上達します。
学べる英語のシーン
就職を見据えた実践英語を学びます:
- ビジネス英会話(メール、電話、会議)
- 接客英語(ホテル、飲食店、小売店)
- 電話応対の英語フレーズ
- 英文メール・ビジネス文書作成
- プレゼンテーション英語
- TOEIC対策
あなたが目指す職種に合わせて、学習内容をカスタマイズできる事業所もあります。
1日の学習サイクル例(15分×3セット)
午前: 音読練習(テキストを声に出して読む)15分
昼: 録音練習(自分の発音を録音して聞き返す)15分
午後: フィードバック(支援員と一緒に改善点を確認)15分
【対象外の業務】
同時通訳、高度翻訳、ネイティブ並の流暢さは訓練の対象外です。あくまで実務初級レベル(ビジネスメール対応・定型フレーズでの電話応対・接客英語)を目指します。
なぜ就労移行で学ぶのか?一般スクールとの違い
結論: 経済負担を抑えながら、個別ペースで、就職後まで支援を受けられます。
理由: 所得区分で利用料が決まり、個別計画で進め、定着支援まであるためです。
例: 月0〜9,300円で最長2年、体調に合わせた学習、就職後6ヶ月〜1年のフォロー。
| 項目 | 就労移行支援 | 一般英会話スクール |
|---|---|---|
| 費用 | 0〜月37,200円(所得区分) | 月1万〜3万円(年12万〜36万円) |
| 期間 | 最長2年(調整可) | 継続課金制 |
| 配慮 | 障害特性に応じた個別対応 | 基本なし |
| 就職支援 | 履歴書・面接・定着まで | なし |
| 学習内容 | 就職に直結する実践英語 | 日常会話中心 |
障害のある方が安心して学び、確実に就職を目指すなら就労移行支援がおすすめです。
こういう人は就労移行支援:
- 経済的負担を抑えたい
- 自分のペースで学びたい
- 障害特性への配慮が必要
- 就職までサポートしてほしい
こういう人は一般スクール:
- 趣味として英語を学びたい
- 既に就職していて、スキルアップが目的
- 特別な配慮は不要
どんな企業に就職できる?職種と業務内容
就職先の業種・職種(傾向)
- ホテル・宿泊業の接客スタッフ
- 空港関連業務(グランドスタッフ補助など)
- 外資系企業の事務職・カスタマーサポート
- 観光業の案内スタッフ
- 貿易事務・輸出入関連の事務職
- ECサイト運営企業のカスタマーサポート
- 翻訳・通訳アシスタント
多くの企業でインバウンド対応の需要が高まり、英語対応できる人材の求人は各地域で見られます。
就職後の業務内容例
- 外国人のお客様への接客・案内
- 英文メールの作成・返信業務
- 電話での簡単な英語応対
- 英語資料の翻訳補助
- 海外取引先との連絡業務サポート
基本的には日本語がメイン、英語はサブという職場が多いです。英語のみでの業務を最初から求められるケースは多くありません。
給与の目安
地域・雇用形態・英語活用度で大きく変わります。同一地域・同職種でも経験や配慮内容により差が出ます。英語は主業務の補助として扱う求人が多く、月給18万〜25万円程度からのスタート例が見られます。TOEIC600点以上など、資格があると給与面で優遇される場合もあります。実務経験を積み、英語力を高めれば、昇給やキャリアアップも十分に可能です。
最新の実情は見学時に直近求人を確認してください。
資格取得・ポートフォリオ制作について
- TOEIC対策プログラムを提供する事業所が多い
- 英検の取得を目指せるカリキュラムもある
- ビジネス英語関連の資格対策
- 実際の業務を想定したロールプレイング動画を成果物に
- 英文メールのサンプル集を作成
- 就職活動での活用方法を個別指導
英会話に関連する資格取得を目指せる事業所もあります。TOEICスコアは就職活動で大きなアピールポイントになります。実際の会話やメール対応の記録をポートフォリオとしてまとめられます。
見学時の確認ポイント: 取得可能な資格の正式名称、過去の合格実績、受験料補助の有無を質問しましょう。
英会話に強い事業所の選び方
確認すべきチェックポイント(見学で聞く10項目)
□ 英会話のカリキュラムが充実しているか
□ 実際に英語を使う職種への就職実績があるか(直近1年の実績数)
□ 英語指導の経験がある支援員がいるか
□ オンライン英会話ツールなどの設備があるか
□ ネイティブスピーカーとの会話機会があるか
□ TOEIC対策プログラムがあるか
□ 個別支援計画を作成してくれるか
□ 就職後の定着支援があるか
□ 在宅訓練にも対応しているか
□ 通いやすい立地・時間設定か
見学の際に、上記のポイントを必ず確認してください。特に重要なのは、「実際に英語を使う職種への就職実績があるか」「オンライン英会話ツールなどの実践的な設備があるか」の2点です。可能なら、実際のレッスン風景を見学させてもらいましょう。
利用にかかる費用と条件
利用料金
利用料は世帯の前年度所得区分で月額上限が決まります(多くは0〜9,300円帯)。
- 生活保護受給世帯/市町村民税非課税世帯:0円
- 市町村民税課税世帯(一般1):月額上限9,300円
- 上記以外(一般2):月額上限37,200円
※交通費・昼食は自治体/事業所により異なります(見学時に確認必須)。
利用条件
- 障害者手帳をお持ちの方、または
- 医師の診断書・意見書がある方
- 18歳以上65歳未満の方(原則)
- 一般企業への就職を希望される方
手帳がなくても、医師の診断書があれば利用可能です。発達障害、精神障害、身体障害など、障害の種類は問いません。
その他の費用
- PC・タブレット貸与:多くの事業所で無料貸与
- 教材費:基本的に不要(オンライン教材を使用)
- TOEIC受験料:事業所により補助がある場合も
- 交通費補助:事業所により異なる
- 昼食提供:事業所により異なる(有料・無料・なし)
事業所によってサービス内容が異なるため、見学時に確認してください。
利用開始までの流れ
ステップバイステップ
Step 1:見学予約(電話・Web)
気になる事業所に連絡し、見学日を予約します。
Step 2:施設見学
実際の訓練環境や雰囲気を確認します。英語のレッスン風景を見られるとベストです。
Step 3:体験利用(1日〜数日)
実際のプログラムを体験し、自分に合うか確認します。簡単な英会話レッスンを受けられます。
Step 4:受給者証の申請(市区町村)
お住まいの市区町村の障害福祉課で申請手続きを行います。
Step 5:利用契約
事業所と正式に利用契約を結びます。個別支援計画を作成します。
Step 6:訓練スタート
いよいよ英会話の学習開始です!
見学は無料で、利用の義務もありません。複数の事業所を見学して比較するのがおすすめです。実際の英語レッスンの雰囲気を確認できます。
所要期間:見学から利用開始まで平均1〜2ヶ月
よくある失敗と注意点
失敗例と回避策
- 失敗例1:完璧主義になり、間違いを恐れて話せなくなった → 間違いは成長の証、60点で合格の意識
- 失敗例2:毎日の学習習慣が身につかず、上達しなかった → 1日15分でもいいので継続を優先
- 失敗例3:難しいレベルに挑戦して挫折した → 簡単すぎるレベルから始める
- 失敗例4:人と比較して自信を失った → 自分のペースを大切に
- 失敗例5:文法ばかり勉強して会話練習をしなかった → 実際に声に出す練習を重視
先輩たちのつまずきポイントを知っておけば、同じ失敗を避けられます。特に語学学習は「継続」が何より大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 「年齢が高くても就職できますか?」
A1: 年齢よりも学習意欲と継続力が重視されます。30代、40代からの就職成功例も多数あります。英語ができる人材は幅広い年齢層で求められています。
Q2: 「途中で辞めてしまわないか不安です」
A2: 定期的な個別面談でモチベーション管理を行いますし、同じ目標を持つ仲間との励まし合いもあります。小さな目標を設定し、達成感を積み重ねることで継続できます。
Q3: 「就職後も英語を使い続けられるか不安です」
A3: 就職後も定着支援が継続します。職場での英語使用に関する悩みも相談できます。多くの事業所では6ヶ月〜1年程度の定着支援を行っています。
Q4: 「ネイティブスピーカーと話す機会はありますか?」
A4: オンライン英会話ツールを導入している事業所では、ネイティブスピーカーとの会話練習が可能です。外部講師を招いたレッスンを実施する事業所もあります。
Q5: 「TOEICは必ず受けなければいけませんか?」
A5: 必須ではありませんが、就職活動で有利になるため、多くの方が受験しています。目標スコアは個別に設定し、無理なく準備できます。
Q6: 「在宅訓練は可能ですか?」
A6: 在宅訓練は事業所の方針や自治体の運用で可否が分かれます。ハイブリッド(通所+在宅)を採用する事業所もあります。体調に波がある方には特におすすめです。ハイブリッドの可否・頻度を見学時に確認しましょう。
Q7: 「他のサービス(就労継続支援B型など)と併用できますか?」
A7: 就労移行支援と就労継続支援(A型/B型)の同時利用は原則不可です。移行の相談や時期調整は可能な場合があります。アルバイトとの併用は週20時間未満なら可能な場合もあります。詳しくは事業所や市区町村の障害福祉課に確認してください。
Q8: 「就職率や定着率はどうですか?」
A8: 公的調査でも、就労移行支援の利用が就職や職場定着に一定の効果をもたらすことが報告されています。数値は地域・事業所・時期で変動するため、見学時に直近1年の就職率・定着率を確認するのがおすすめです。英語スキルは職種選択の幅を広げる強い補助要素になります。
まとめ:英会話で新しいキャリアを
この記事のポイント
- 就労移行支援で英会話は確実に学べる
- 経済的負担を抑えながら、個別サポートを受けられる
- 未経験でも、障害特性があっても大丈夫
- 緊張しやすくても、マンツーマンから段階的に
- 学習から就職、定着まで一貫してサポート
- まずは見学・体験から気軽に始められる
あなたへのメッセージ
英会話に興味を持ったあなた。まずは一歩踏み出してみませんか?
適切なサポートを受けながら、あなたのペースで確実にスキルを身につけていけば、新しいキャリアへの道が開けます。あなたが持っている「語学への興味」「異文化への関心」「コツコツ継続する力」は、英会話の世界では大きな武器になります。
英語ができる人材の需要は高まる一方です。今から準備を始めれば、グローバルな環境で活躍する未来が待っています。
今すぐできる行動
【最後のアクション】 以下の3ステップで、今週から動き出せます。
Step 1:情報収集(今週中)
- 下記のWAM NETで近くの就労移行支援事業所を検索
- 英会話のカリキュラムがある事業所をリストアップ
- 2-3箇所の事業所の情報を比較
- 見学予約の電話やメールを送る準備をする
Step 2:見学・体験(来月中)
- リストアップした事業所に見学予約を取る
- 実際の訓練環境や雰囲気を確認
- 上記の「見学で聞く10項目」を質問
- 「オンライン英会話ツールは使えますか?」「直近1年の就職実績は?」と確認
- 体験利用で実際のレッスンを受ける
Step 3:利用開始(3ヶ月以内)
- 自分に合った事業所を選択
- 市区町村で受給者証の申請手続き
- 利用契約を結ぶ
- 英会話の学習スタート!
参考文献・データ出典
本記事は2025年時点の公的資料を基に一般的な情報をまとめています。制度・料金・運用は変更の可能性があるため、最新は各公式・事業所にご確認ください。
使用したデータソース
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就職相談
専門の相談員に相談できます
はじめの一歩を踏み出すために
もしあなたが「英会話に挑戦してみたい」と少しでも思ったなら、まずは気軽に見学から始めてみませんか?
見学は無料で、利用の義務もありません。「どんな雰囲気なのか見てみたい」「本当に自分にできるのか話を聞いてみたい」「実際のレッスンを見せてもらいたい」という気持ちだけで十分です。あなたの新しいキャリアへの第一歩を、応援しています。
“Every expert was once a beginner.”(すべての専門家も、最初は初心者でした)
あなたも、今日から始められます。
この記事は2025年の情報に基づいて作成されています。
制度や事業所の詳細は変更される場合がありますので、最新情報は各事業所に直接お問い合わせください。
この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

