この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「プログラミングの仕事に興味があるけど、障害があっても大丈夫?」 「未経験からエンジニアになれる?文系でも平気?」 「在宅勤務できる仕事が多いって本当?」 「IT業界ってブラック企業が多くない?残業がきつそう…」 「発達障害はプログラミングに向いているって聞くけど、本当?」
こんな疑問を抱えていませんか?
結論からお伝えすると、障害のある方でもプログラミングの仕事に就くことは十分に可能です。
実際に多くの方が障害者雇用枠や一般枠でエンジニアとして活躍しています。IT業界は他の業界と比べて在宅勤務がしやすく、成果で評価される傾向があるため、障害のある方にとって働きやすい環境が整っている企業も増えています。
この記事では、以下の疑問すべてに答えます。
- プログラミング関連にはどんな仕事があるのか
- 給料・待遇はどのくらいか、自分の障害特性でも働けるか
- 未経験からどうやって就職するか
- 求人はどこで探せばいいか
読み終える頃には、「自分にもできそう」「ここから始めればいいんだ」と具体的な行動イメージが湧いているはずです。
プログラミングの仕事にはどんな職種がある?
| 職種 | 主な仕事内容 | 必要なスキル | 障害者雇用での募集 |
|---|---|---|---|
| Webエンジニア | Webサイトやアプリの開発・保守 | HTML/CSS、JavaScript、PHP等 | 多い |
| システムエンジニア(SE) | システムの設計・開発・運用 | Java、Python、SQL等 | 多い |
| プログラマー | 設計書に基づいたコーディング | 各種プログラミング言語 | 多い |
| インフラエンジニア | サーバーやネットワークの構築・管理 | Linux、AWS、ネットワーク知識 | 普通 |
| テストエンジニア(QA) | ソフトウェアの品質検証・テスト | テスト手法、バグ報告スキル | 多い |
| データ入力・IT事務 | データ処理、ドキュメント作成 | Excel、基本的なPC操作 | 多い |
| Webデザイナー | Webサイトのデザイン制作 | Figma、Photoshop、HTML/CSS | 普通 |
| データアナリスト | データ分析・レポート作成 | Python、SQL、統計知識 | 普通 |
プログラミングの仕事と一口に言っても、職種によって求められるスキルや働き方は大きく異なります。未経験から始めやすいのは、Webエンジニア、プログラマー、テストエンジニアなどです。まずは自分の興味や得意なことを踏まえて、合いそうな職種を探してみましょう。
知っておきたい:IT業界の働き方3タイプ
IT業界には、同じ「エンジニア」でも働き方が異なる3つのタイプがあります。求人を探す前に知っておくと、入社後のミスマッチを防げます。
| タイプ | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自社開発 | 自社のサービスやシステムを開発 | 環境が安定、長期的にスキルを深められる | 求人数は比較的少ない |
| 社内SE(受託開発) | 他社から依頼を受けて開発 | 様々なプロジェクトを経験できる | 納期プレッシャーがある場合も |
| SES(客先常駐) | 他社に出向して開発 | 未経験でも採用されやすい | 環境が変わりやすく、配慮の継続性に注意 |
障害者雇用で安定して働きたい場合は、「自社開発」または「社内SE」の求人を優先的に探すのがおすすめです。 SESは未経験者向け求人が多いですが、常駐先が変わると配慮内容を一から説明し直す必要があるため、障害特性によっては負担になることがあります。
プログラミングの仕事の給料・待遇はどのくらい?
障害者雇用の給与相場
| 雇用形態 | 月給目安 | 年収目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 正社員(障害者雇用) | 20万〜35万円 | 250万〜450万円 | 経験・スキルにより大きく変動 |
| 契約社員 | 18万〜30万円 | 220万〜380万円 | 正社員登用制度がある企業も |
| パート・アルバイト | 時給1,200〜2,000円 | — | 時短勤務可能な求人も多い |
上記は一般的な傾向です。企業規模、地域、経験・スキルによって大きく異なります。特にIT業界はスキル次第で給与が上がりやすい特徴があります。
一般雇用との差はある?
正直にお伝えすると、障害者雇用枠は一般枠より給与が低めになる傾向があります。厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、精神障害者の平均月収は約14.9万円、身体障害者は約23.5万円となっています。
ただし、IT業界は他業種と比べて障害者雇用でも比較的高い給与水準にあります。これはスキルが明確に評価されやすい業界だからです。未経験からスタートしても、スキルを身につけてキャリアアップすれば、年収400万円以上を目指すことも十分に可能です。
福利厚生・働きやすさ
IT業界は他の業界と比べて、在宅勤務やフレックスタイム制度が整っている企業が多いです。障害者雇用に積極的な企業では、通院休暇、時短勤務、業務量の調整など、様々な配慮を受けられることがあります。大手IT企業やSIer(システムインテグレーター)ほど制度が充実している傾向があります。
自分の障害特性でも働ける?相性チェック
障害特性別の相性
| 障害特性 | 相性 | 向いている職種 | 配慮があると働きやすい点 |
|---|---|---|---|
| 発達障害(ASD) | ◎ | プログラマー、テストエンジニア、インフラ | コミュニケーション方法の明確化、静かな作業環境 |
| 発達障害(ADHD) | ○ | Webエンジニア、フロントエンド | タスク管理のサポート、適度な締め切り設定 |
| 精神障害(うつ病等) | ○ | 在宅可能な開発職全般、テスト | 業務量の調整、通院への配慮、在宅勤務 |
| 知的障害 | △ | データ入力、テスト補助、IT事務 | 作業手順の明確化、マニュアル整備 |
| 身体障害(肢体) | ◎ | すべての開発職 | バリアフリー環境、在宅勤務 |
| 身体障害(視覚) | ○ | 音声読み上げ対応可能な職種 | スクリーンリーダー対応、拡大ツール |
| 身体障害(聴覚) | ◎ | すべての開発職 | チャットベースのコミュニケーション、字幕ツール |
上記はあくまで一般的な傾向です。同じ障害名でも特性は人それぞれ異なります。「自分には無理」と決めつけず、まずは情報収集から始めてみてください。
障害特性別:実際に使われている配慮・工夫の例
「相性が良い」と言われても、具体的にどう働けばいいかイメージしにくいかもしれません。ここでは、実際にIT業界で使われている配慮や工夫の例を紹介します。
発達障害(ASD)の方の工夫例:
指示は口頭ではなくチャットで文字化してもらうと理解しやすくなります。曖昧な指示があったときは「具体的にどういうことですか?」と確認して大丈夫です。聴覚過敏がある場合は、イヤホン使用可の職場を選んだり、静かな席に配置してもらったりする配慮を依頼できます。プログラミングは「正解がある」仕事なので、曖昧さが苦手な方にとってむしろ取り組みやすい面があります。
発達障害(ADHD)の方の工夫例:
タスク管理ツール(Trello、Notion、Backlogなど)を活用して、やるべきことを可視化する方法が有効です。「1つのタスクが終わるまで次を渡さない」というルールを上司と相談して決める方もいます。集中力が続きにくい場合は、25分作業→5分休憩の「ポモドーロ・テクニック」を取り入れている方もいます。過集中になりやすい方は、アラームを設定して休憩を忘れないようにする工夫も効果的です。
精神障害(うつ病等)の方の工夫例:
入社直後は業務量を少なめに設定してもらい、徐々に増やしていく方法が一般的です。体調が悪い日は在宅勤務に切り替えられる職場を選ぶと安心です。週1回など定期的な面談で業務負荷を調整してもらっている方も多いです。通院日は午前休や午後休を取りやすい職場を選ぶこともポイントです。
身体障害の方の工夫例:
通勤が負担になる場合は、在宅勤務をメインにする選択肢があります。出社が必要な場合は、バリアフリー環境(エレベーター、多目的トイレなど)を事前に確認しましょう。聴覚障害の方は、会議での字幕ツール活用や、チャットベースのコミュニケーションを希望として伝えられます。視覚障害の方は、スクリーンリーダー対応の開発環境が使える職場かどうかを確認することが重要です。
配慮は「お願い」ではなく「情報共有」 配慮をお願いすることに遠慮を感じる方もいますが、企業側も「どうすればこの人が力を発揮できるか」を知りたいと思っています。「こういう環境だと働きやすいです」という情報共有として伝えると、お互いにとってプラスになります。
プログラミングの仕事に向いている人・向いていない人
プログラミングの仕事 適性診断
✓ 向いている可能性が高い人
△ 慎重に検討した方がいい人
当てはまっても、職種選びや配慮次第で働ける可能性は十分あります。 たとえば、テストエンジニアやIT事務など、コーディング以外の職種を選ぶ方法もあります。
プログラミングの仕事でよくある不安・疑問に答えます
Q1. 未経験・30代・40代からでもエンジニアになれる?
結論:なれます。 ただし、20代と比べるとハードルが上がるのは事実です。
IT業界は慢性的な人手不足のため、未経験者を育成する企業も多くあります。30代・40代から未経験でエンジニアになった方も実際にいます。ポイントは「未経験」をいかに早く脱却するかです。就労移行支援やプログラミングスクールでスキルを身につけてから就職活動をすると、採用される可能性が高まります。
Q2. 文系出身・数学が苦手でも大丈夫?
結論:多くの場合、問題ありません。
プログラミングに高度な数学が必要になるのは、機械学習やデータサイエンスなど一部の分野です。Webエンジニアやシステム開発など多くの職種では、中学レベルの数学がわかれば十分です。実際にIT業界で働く人の中には文系出身者も多くいます。必要なのは数学力よりも「論理的に考える力」と「調べて解決する力」です。
Q3. 在宅勤務・リモートワークの求人は本当に多い?
結論:他の業界と比べて圧倒的に多いです。
IT業界はコロナ禍以降、在宅勤務が一般化しました。フルリモート(完全在宅)の求人もありますし、週2〜3日出社のハイブリッド勤務も増えています。障害者雇用でも在宅勤務可能な求人は増加傾向にあり、通勤が難しい方にとって大きなメリットとなっています。ただし、未経験者はまず出社して学ぶ期間が必要な企業も多いので、求人情報をよく確認しましょう。
Q4. エンジニアでも会議やコミュニケーションは必要?
結論:必要ですが、チャットベースが多いです。
「エンジニア=一人で黙々とコードを書く」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはチームで開発することがほとんどです。ただし、IT業界のコミュニケーションはSlackやTeamsなどのチャットツールが中心。対面での会話が苦手な方でも、テキストでのやり取りなら問題ないという方は多いです。また、職種によってコミュニケーション量は異なります。プログラマーやテストエンジニアは比較的少なめ、SEや上流工程は多めです。
Q5. IT業界はブラック企業が多い?残業がきつい?
結論:企業によって大きく異なります。
確かに、納期前の追い込みで残業が増える企業もあります。しかし、近年は働き方改革が進み、残業を厳しく管理する企業も増えています。特に障害者雇用枠では、業務量や残業時間に配慮がある求人がほとんどです。企業選びの際は、残業時間の実態や、障害者雇用の定着率などを確認することをおすすめします。
Q6. 技術の進歩についていける?常に勉強が必要?
結論:ある程度の学習は必要ですが、恐れすぎなくて大丈夫です。
IT業界は技術の変化が速いのは事実です。ただし、すべての新技術を追いかける必要はありません。基礎をしっかり身につければ、新しい技術も理解しやすくなります。また、企業によっては研修制度があったり、業務時間内に学習時間を設けていたりします。「勉強が好き」である必要はありませんが、「新しいことを学ぶのが苦痛ではない」程度であれば十分やっていけます。
まとめ:不安に思いすぎなくて大丈夫 プログラミングの仕事は「特別な才能がある人だけができる」ものではありません。未経験からでも、文系でも、30代以上でも、障害があっても、きちんと学んで準備すれば就職は可能です。大切なのは、自分に合った職種を選び、無理のないペースで学んでいくことです。
未経験からプログラミングの仕事に就職する5つの方法
方法1:ハローワーク(障害者窓口)
特徴: 無料で利用可能で、障害者専門の相談窓口があります。地域の求人に強く、障害者雇用の求人を幅広く紹介してもらえます。
向いている人: 地元で働きたい人、すぐに就職活動を始めたい人、まずは相談から始めたい人。
注意点: IT専門職の求人は都市部に偏りがちです。また、スキル習得のサポートは基本的にありません。
方法2:障害者向け転職エージェント
特徴: 専門のキャリアアドバイザーがサポートしてくれます。非公開求人へのアクセスや、企業との条件交渉の代行もしてもらえます。
向いている人: ある程度のスキル・経験がある人、大手企業や好条件の求人を狙いたい人。
注意点: 未経験者は紹介できる求人が限られます。ポートフォリオ(制作実績)があると有利です。
方法3:就労移行支援
特徴: 最大2年間、スキル習得から就職までを一貫してサポートしてもらえます。費用は前年収入に応じて決定され、多くの方が無料で利用しています。就職後の定着支援(6ヶ月〜)もあります。
向いている人: 未経験からプログラミングスキルを身につけたい人、ブランクがあり働く準備から始めたい人、就職活動に不安がある人。
注意点: 利用中は基本的に給料は出ません(工賃が出る事業所もあり)。すべての事業所でプログラミングが学べるわけではないので、IT特化型の事業所を選ぶことが重要です。
就労移行支援とは? 障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。ビジネスマナーやPCスキル、プログラミングなどの専門スキルの習得から、履歴書作成・面接対策、就職後のフォローまで、一貫したサポートを受けられます。利用料は前年の世帯収入に応じて決まり、多くの方が無料で利用しています。
方法4:求人サイト(障害者向け)
特徴: 自分のペースで求人を探せます。障害者雇用の求人に特化したサイトを使えば、配慮事項なども確認しやすいです。
向いている人: 自分で情報収集できる人、まずはどんな求人があるか見てみたい人。
注意点: 書類作成や面接対策のサポートは基本的に自分で行う必要があります。
方法5:企業への直接応募
特徴: 行きたい企業に直接アプローチできます。大手IT企業の多くは障害者採用ページを設けています。
向いている人: 行きたい企業が明確な人、アピールできるスキル・ポートフォリオがある人。
注意点: 競争率が高く、配慮事項の交渉も自分で行う必要があります。
就職方法の比較:自分に合うのはどれ?
| 方法 | 費用 | サポート | 未経験者 | スキル習得 |
|---|---|---|---|---|
| ハローワーク | 無料 | △ | ○ | × |
| 転職エージェント | 無料 | ◎ | △ | × |
| 就労移行支援 | 無料〜 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 求人サイト | 無料 | × | ○ | × |
| 直接応募 | 無料 | × | △ | × |
【結論】 今すぐ働きたくてスキルがある方は、転職エージェントやハローワークがおすすめです。未経験からプログラミングスキルを身につけたい方は、就労移行支援が向いています。まずは情報収集からという方は、求人サイトやハローワークで相談してみましょう。
プログラミングの仕事に必要なスキル・資格
未経験者が最初に学ぶならこの言語
「プログラミングを学びたいけど、何から始めればいいかわからない」という方は多いです。言語は数十種類ありますが、迷ったら以下の2択から選べばOKです。
Webサイトやアプリを作りたいなら → HTML/CSS → JavaScript
見た目の変化がすぐにわかるので、挫折しにくいのが特徴です。Webエンジニア、フロントエンドエンジニアを目指す方に向いています。最初はHTML/CSSでWebページの見た目を作り、その後JavaScriptで動きをつける、という順番で学ぶのが一般的です。
システム開発・汎用性重視なら → Python
文法がシンプルで、プログラミング初心者に最もおすすめされる言語の一つです。データ分析、AI、業務自動化など幅広い分野で使われており、求人数も多いです。「何をやりたいか決まっていないけど、とりあえず始めたい」という方にも向いています。
どの言語が「正解」ということはありません 大切なのは「どの言語を選ぶか」よりも「まず1つ触ってみること」です。実際に手を動かしてみると、自分に合っているかどうかがわかります。合わなければ別の言語に変えても大丈夫。最初の一歩を踏み出すことが一番重要です。
必須スキル
プログラミング言語は、目指す職種によって必要な言語が異なります。Webエンジニアを目指すならHTML/CSS、JavaScript、PHPなど。業務システム開発ならJava、Python、C#などが求められます。まずは一つの言語をしっかり学ぶことが大切です。
基本的なIT知識も重要です。パソコンの基本操作、インターネットの仕組み、セキュリティの基礎などは、どの職種でも必要になります。
コミュニケーション力も忘れてはいけません。チャットでの報告・連絡・相談、仕様の確認、質問する力など、最低限のコミュニケーション力は求められます。
あると有利な資格
| 資格名 | 難易度 | 取得期間目安 | 就職への効果 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート | ★☆☆ | 1〜2ヶ月 | IT基礎知識の証明に |
| 基本情報技術者 | ★★☆ | 3〜6ヶ月 | エンジニア志望なら取得推奨 |
| MOS(Excel等) | ★☆☆ | 1ヶ月 | IT事務志望に有効 |
| Webクリエイター能力認定 | ★☆☆ | 1〜2ヶ月 | Web系志望の入門に |
| AWS認定 | ★★☆〜★★★ | 3〜6ヶ月 | インフラ・クラウド志望に |
資格は「あれば有利」程度です。IT業界では資格よりも実務経験やポートフォリオ(制作実績)を重視する企業も多いです。未経験者は、資格取得と並行して実際にコードを書く練習をすることをおすすめします。
ポートフォリオとは?何を作ればいい?
ポートフォリオとは、自分のスキルを証明するための「作品集」です。IT業界、特に未経験者の就職活動では、資格よりもポートフォリオが重視されることが多いです。
未経験者におすすめのポートフォリオ例:
Webエンジニア志望なら、自己紹介サイトやToDoアプリ、簡単なブログサイトなどが定番です。見た目がきれいで、基本的な機能(追加・削除・編集など)が動作すれば十分アピールになります。
プログラマー志望なら、業務効率化ツール(Excelの自動処理など)、簡単なゲーム、データ分析のレポートなどが考えられます。
ポートフォリオを作るときのポイント:
完璧を目指さなくて大丈夫です。「基礎を理解している」「自分で調べて作れる」ことが伝わればOKです。GitHubにコードを公開しておくと、企業側も確認しやすくなります。就労移行支援では、ポートフォリオ作成をサポートしてくれるところもあります。
スキルを身につける方法の比較
| 方法 | 費用 | 期間 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 独学 | 無料〜数千円 | 自分次第 | 費用が安い、自分のペースで進められる | 挫折しやすい、質問できる人がいない |
| プログラミングスクール | 10万〜60万円 | 3〜6ヶ月 | 体系的に学べる、質問できる | 費用が高い、障害への配慮は事業者次第 |
| 就労移行支援 | 無料〜 | 6ヶ月〜2年 | 障害に配慮、就職までサポート | 利用中は給料なし、IT特化型は限られる |
独学で挫折しないためのコツ:
最初から完璧を目指さないことが大切です。まずは動くものを作ることを目標にしましょう。エラーが出たら「エラー文 + 言語名」で検索すると、大抵の解決策が見つかります。一人で悩みすぎず、質問できる環境(プログラミングコミュニティ、就労移行支援など)を持っておくと挫折しにくくなります。
求人の探し方・おすすめの手順
Step 1:まずは求人を見てみる
いきなり応募する必要はありません。まずは「どんな求人があるのか」「どんなスキルが求められているのか」を見てみましょう。
ハローワークインターネットサービスで「障害者求人」「IT」「プログラマー」などで検索してみてください。障害者向け求人サイトでIT系の求人を探すのもおすすめです。
Step 2:自分の希望条件を整理する
勤務地(通勤時間、在宅勤務の希望)、勤務時間(フルタイムか時短か)、使用したい言語・技術、必要な配慮事項などを整理しておくと、求人選びがスムーズになります。
Step 3:「未経験OK」求人の見分け方を知る
求人票に「未経験歓迎」と書いてあっても、実態は様々です。以下のポイントをチェックしましょう。
信頼できる「未経験OK」求人の特徴:
研修期間が明記されている(3ヶ月〜など)求人は、育成する意思がある証拠です。配属予定の部署・業務が具体的に書かれていると、入社後のミスマッチが起きにくくなります。「ポテンシャル採用」「育成枠」などの記載があると、未経験者を前提にしていることがわかります。
注意が必要な求人:
「未経験OK」なのに「即戦力」「自走できる方」などの記載がある場合は要注意です。研修制度の説明がまったくない求人も、入社後に放置される可能性があります。業務内容が曖昧で、具体的に何をするかわからない求人も避けた方が無難です。
求人票の見方に迷ったら ハローワークの障害者窓口や就労移行支援のスタッフに、求人票を一緒に見てもらうと安心です。「この求人は本当に未経験でも大丈夫そうか」「配慮は受けられそうか」など、専門家の視点でアドバイスをもらえます。
Step 4:相談窓口を活用する
一人で悩まず、専門家に相談することをおすすめします。ハローワーク障害者窓口、障害者就労支援センター、就労移行支援事業所(見学・相談は無料)などを活用しましょう。
面接でよく聞かれること・答え方
障害者雇用の面接で聞かれる質問
よく聞かれるのは「障害について教えてください」「どのような配慮があれば働けますか?」「体調管理はどのようにしていますか?」「なぜIT業界・エンジニア職を希望しますか?」「ブランク期間は何をしていましたか?」「プログラミングをどのように学びましたか?」といった質問です。
答え方のポイント
【ここにカスタムHTML:強調ボックス(情報・ブルー)】 💡 障害の伝え方のコツ 「できないこと」だけでなく、「こういう配慮があればできる」「こういう工夫をしている」とセットで伝えましょう。企業は「この人を採用して大丈夫か」を知りたいのです。例えば「聴覚過敏があるので静かな環境だと集中できます」「定期通院がありますが、月1回の午前休で対応できます」といった具体的な伝え方が効果的です。
プログラミングスキルのアピールには、ポートフォリオ(自分で作った成果物)があると非常に有効です。GitHubアカウントや、自作のWebサイト・アプリを見せられると説得力が増します。
入社後はどんな仕事から始まる?
「未経験で入社しても、いきなり難しい開発を任されるのでは…」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし実際には、段階を踏んで業務を覚えていくのが一般的です。
入社後の仕事の流れ
最初は「わからないことだらけ」で当然 未経験入社であれば、最初の数ヶ月は「わからない」「調べる」「質問する」の繰り返しです。それを想定した研修体制があるかどうかを、入社前に確認しておくと安心です。
就職後に気をつけること
長く働くためのポイント
無理をしすぎないことが大切です。最初から100%を目指さず、徐々にペースをつかみましょう。困ったら早めに相談する習慣をつけ、体調管理を最優先にしてください。また、就労移行支援を利用していた方は、定着支援を活用することをおすすめします。
困ったときの相談先
職場の上司・人事担当者、障害者就労支援センター、就労移行支援の定着支援(利用していた場合)など、頼れる窓口を複数持っておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 障害者手帳がなくてもプログラミングの仕事に就けますか? A. 一般枠での就職は可能です。ただし、障害者雇用枠を利用する場合は、原則として障害者手帳が必要です。手帳の取得を検討している方は、主治医に相談してみてください。
Q. 障害をオープンにすべきですか?クローズで働くこともできますか? A. どちらも可能です。オープン(障害者雇用)は配慮を受けやすい反面、給与が低めの傾向があります。クローズ(一般雇用)は給与面では有利ですが、配慮なしで働くことになります。自分の障害特性や希望する働き方に合わせて選びましょう。
Q. ブランクが長いのですが、就職できますか? A. ブランクがあっても就職は可能です。就労移行支援などでプログラミングスキルを身につけ、働く準備を整えてから就職活動をする方も多くいます。ブランク期間に何をしていたか(治療に専念、スキル習得など)を説明できるようにしておくと良いでしょう。
Q. 在宅勤務できる求人はありますか? A. プログラミングの仕事は在宅勤務と相性が良く、フルリモートやハイブリッド勤務の求人も増えています。ただし、未経験者はまず出社して学ぶ期間を設けている企業も多いです。
Q. いきなり就職が不安です。まず何から始めればいいですか? A. まずは情報収集から始めましょう。ハローワークで求人を見てみる、就労移行支援事業所を見学する(無料)、プログラミングの無料教材を試してみるなど、小さな一歩から始めることをおすすめします。
あなたのタイプ別:次の一歩ガイド
ここまで読んで、「情報はわかったけど、自分は具体的に何から始めればいいの?」と思った方もいるかもしれません。
あなたの状況に合わせて、次の一歩を選んでください。
あなたのタイプ別:次の一歩ガイド
🅰️ まだプログラミングを触ったことがない人
今週やること(どれか1つでOK)
今月やること
🅱️ 独学やスクールで少しやったけど、挫折した人
今週やること(どれか1つでOK)
今月やること
🅲 ある程度スキルがあって、就職を目指したい人
今週やること(どれか1つでOK)
今月やること
3ヶ月以内にやること
どのタイプかわからない人へ
「自分がどのタイプかわからない」「複数に当てはまる気がする」という方は、まずはタイプAのアクションから始めてみてください。
Progateを1レッスンやってみるか、就労移行支援の見学に行くか。どちらか1つをやれば、次に何をすべきかが見えてきます。
「全部やらなきゃ」と思わなくて大丈夫 上に書いたアクションは「この中から選べばOK」というリストです。全部やる必要はありません。今の自分にできそうなことを1つだけ選んで、今週中にやってみてください。 1つ動けば、次の一歩が見えてきます。
まとめ:プログラミングの仕事に就くために
この記事のポイント
プログラミングの仕事には、Webエンジニア、プログラマー、テストエンジニアなど様々な職種があります。給与は月20万〜35万円程度で、スキル次第で上がりやすい業界です。在宅勤務がしやすく、チャットベースのコミュニケーションが多いため、障害のある方にとって働きやすい環境が整っている企業も増えています。
就職方法はハローワーク、転職エージェント、就労移行支援など複数あります。未経験からスキルを身につけたいなら、IT特化型の就労移行支援という選択肢もあります。
今週中にやること(どれか1つでOK)
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🖥️ プログラミングに触れてみる
🔍 求人を見てみる
💬 相談してみる
1つ動けば、次に何をすべきかが見えてきます。
プログラミングが学べる就労移行支援を探す
プログラミングスキルを身につけて就職したい方は、IT特化型の就労移行支援事業所を探してみましょう。
【注意】 すべての就労移行支援事業所でプログラミングが学べるわけではありません。事業所によってカリキュラムは大きく異なるため、IT・プログラミングに特化した事業所を選ぶことが重要です。
IT特化型の就労移行支援を選ぶときのチェックポイント:
- 学べる言語・技術は何か(自分の希望と合っているか)
- ポートフォリオ作成のサポートがあるか
- IT業界への就職実績があるか
- 在宅訓練に対応しているか(通所が難しい場合)
参考情報
公的機関の情報
相談窓口
この記事は2025年の情報に基づいて作成されています。 制度や求人状況は変更される場合がありますので、最新情報は各窓口にお問い合わせください。
この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

