この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「IT業界で働きたいけど、障害があっても大丈夫?」「プログラマーやWebデザイナーって、どんな仕事?」「未経験でも就職できる?給料はどのくらい?」こんな疑問を抱えていませんか?
結論からお伝えすると、障害のある方でもIT・Web業界で働くことは十分に可能です。実際に多くの方が障害者雇用枠や一般枠で、エンジニアやデザイナー、IT事務として活躍しています。むしろIT業界は、在宅勤務や柔軟な働き方が浸透しており、障害のある方にとって働きやすい業界の一つと言えます。
ただし、職種によって求められるスキルや働き方は大きく異なります。自分の障害特性や得意なことに合った職種を見つけることが重要です。
この記事では、以下の疑問すべてに答えます
- IT・Web業界にはどんな仕事があるのか?
- 給料・待遇はどのくらいか?
- 自分の障害特性でも働けるか?
- 未経験からどうやって就職するか?
- 求人はどこで探せばいいか?
IT・Web業界にはどんな仕事がある?職種一覧
IT・Web業界と一口に言っても、職種は多岐にわたります。プログラミングが必須の仕事もあれば、PCの基本操作ができれば始められる仕事もあります。
| 職種 | 主な仕事内容 | 必要なスキル | 障害者雇用での募集 |
|---|---|---|---|
| ITエンジニア(開発) | システムやアプリの設計・開発・保守 | プログラミング言語、論理的思考 | 普通 |
| Webデザイナー | Webサイトのデザイン・制作 | デザインツール、HTML/CSS | 普通 |
| IT事務・ヘルプデスク | PC設定、問い合わせ対応、資料作成 | PC基本操作、コミュニケーション | 多い |
| データ入力・事務 | データ入力、書類整理、集計作業 | PC基本操作、正確性 | 多い |
| テスター(QA) | ソフトウェアの動作確認・バグ報告 | 注意力、手順通りの作業 | 多い |
| Webライター | Web記事の執筆・編集 | 文章力、リサーチ力 | 普通 |
| Webマーケター | 広告運用、データ分析、SNS運用 | 分析力、マーケティング知識 | 少ない |
※「障害者雇用での募集」は一般的な傾向です。地域や時期により異なります。
「プログラミングができないとIT業界で働けない」というのは誤解です。IT事務やデータ入力、テスターなど、プログラミングスキルがなくても活躍できる職種はたくさんあります。まずは自分の得意なこと・苦手なことを踏まえて、合いそうな職種を探してみましょう。
IT・Web業界の給料・待遇はどのくらい?
障害者雇用の給与相場
| 雇用形態 | 月給目安 | 年収目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 正社員(障害者雇用) | 18万〜35万円 | 250万〜500万円 | 職種・スキル・企業規模により幅あり |
| 契約社員 | 16万〜28万円 | 200万〜350万円 | 正社員登用制度がある企業も |
| パート・アルバイト | 時給1,100〜1,800円 | − | 時短勤務で働きたい方向け |
※上記は一般的な傾向です。エンジニア・デザイナーなど専門職はスキル次第でさらに高い給与も可能です。
企業規模、地域、経験・スキル、職種によって大きく異なります。特にエンジニアやデザイナーとしてスキルを身につければ、一般雇用と同等かそれ以上の給与を得ることも可能です。
一般雇用との差はある?
正直にお伝えすると、障害者雇用枠は一般枠より給与が低めになる傾向があります。ただし、これは「障害者だから」ではなく、以下の理由によるものです。
- 時短勤務や配慮により労働時間が短い場合がある
- 未経験からのスタートが多い
- 補助的な業務からスタートするケースが多い
IT業界は実力主義の側面が強く、スキルを身につけてキャリアアップすれば給与アップも十分に可能です。障害者雇用でスタートし、スキルを磨いて年収アップを実現している方も多くいます。
福利厚生・働きやすさ
IT業界は他業種と比べて柔軟な働き方を導入している企業が多い傾向にあります。
- 在宅勤務・リモートワーク制度
- フレックスタイム制
- 時短勤務制度
- 通院のための休暇制度
特に大手IT企業やWeb系企業は、障害者雇用に積極的で配慮体制が整っていることが多いです。
自分の障害特性でも働ける?相性チェック
障害特性別の相性
| 障害特性 | IT・Web業界との相性 | 向いている職種 | 配慮があると働きやすい点 |
|---|---|---|---|
| 発達障害(ASD) | ◎ | エンジニア、テスター、データ入力 | 指示の明確化、静かな作業環境 |
| 発達障害(ADHD) | ○ | Webデザイナー、マーケター、ライター | タスク管理サポート、こまめな休憩 |
| 精神障害(うつ病等) | ○ | IT事務、データ入力、在宅勤務可能な職種 | 業務量調整、通院休暇、在宅勤務 |
| 知的障害 | △ | データ入力、定型的な事務作業 | 手順書の整備、丁寧な指導 |
| 身体障害(肢体) | ◎ | 全般(デスクワーク中心のため) | バリアフリー環境、在宅勤務 |
| 身体障害(視覚) | ○ | エンジニア(音声読み上げ対応可能な業務) | 画面読み上げソフト、拡大表示 |
| 身体障害(聴覚) | ◎ | エンジニア、デザイナー、テスター | チャット中心のコミュニケーション |
※上記はあくまで一般的な傾向です。同じ障害名でも特性は人それぞれ異なります。
「自分には無理」と決めつけず、まずは情報収集から始めてみてください。IT業界はデスクワークが中心で、成果物で評価されることが多いため、対人コミュニケーションに苦手意識がある方でも活躍しやすい環境があります。
IT・Web業界で働くのに向いている人・向いていない人
IT・Web業界との相性診断
✓ 向いている可能性が高い人
- PCに向かって作業するのが苦にならない
- 新しい技術やツールを学ぶことに抵抗がない
- 論理的に考えることが好き、または得意
- 一人で黙々と作業するのが好き
- 細かい作業やミスを見つけることが得意
- 成果物(作ったもの)で評価されたい
△ 慎重に検討した方がいい人
- 長時間PCを見ると体調を崩しやすい
- 変化が苦手で、常に同じ手順で仕事をしたい
- 抽象的な指示だと何をすればいいか分からなくなる
3つ以上当てはまれば、IT・Web業界はあなたに向いている可能性が高いです。慎重に検討した方がいい項目に当てはまっても、職種選びや配慮次第で働ける可能性は十分あります。たとえば変化が苦手な方は、保守運用やテスターなど手順が決まっている仕事を選ぶという方法があります。
IT・Web業界でよくある不安・疑問に答えます
💡 不安に思いすぎなくて大丈夫です
IT業界は「難しそう」「自分には無理」と感じやすい業界ですが、実際には未経験から始めた人、文系出身の人、障害のある人が多く活躍しています。まずは小さく始めてみて、「自分に合うかどうか」を確かめてみてください。
未経験からIT・Web業界に就職する5つの方法
方法1:ハローワーク(障害者窓口)
無料で利用でき、障害者専門の相談窓口があります。地域密着型の求人に強く、大企業から中小企業まで幅広い求人を扱っています。地元で働きたい人、すぐに就職活動を始めたい人におすすめですが、IT専門職の求人は都市部に集中しがちで、スキル習得のサポートはありません。
方法2:障害者向け転職エージェント
専門のキャリアアドバイザーが、求人紹介から面接対策、条件交渉まで無料でサポートしてくれます。ある程度のスキル・経験がある人、大手企業や好条件の求人を狙いたい人に向いています。未経験者は紹介できる求人が限られることがある点は注意が必要です。
方法3:就労移行支援
最大2年間、スキル習得から就職活動、就職後の定着支援まで一貫したサポートを受けられます。費用は前年の世帯収入に応じて決まり、多くの方が無料で利用しています。未経験からスキルを身につけたい人、ブランクがあり働く準備から始めたい人に特におすすめです。
就労移行支援とは?
障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。プログラミングやWebデザインなどの専門スキル、ビジネスマナー、コミュニケーション訓練など、働くために必要なスキルを身につけられます。履歴書作成・面接対策から、就職後のフォローまで一貫したサポートを受けられます。
なお、すべての事業所でIT・Web系のスキルが学べるわけではないため、事業所選びが重要です。→ IT・AIに強い事業所の選び方はこちら
方法4:求人サイト(障害者向け)
自分のペースで求人を探せます。障害者雇用の求人に特化したサイトでは、配慮事項や勤務条件が明記されていることが多いです。まずは求人を見てみたい人に向いていますが、書類作成や面接対策は基本的に自力で行う必要があります。
方法5:企業への直接応募
行きたい企業に直接アプローチできます。多くのIT企業は採用ページで障害者雇用の情報を公開しています。アピールできるスキル・経験・ポートフォリオがある人に向いていますが、競争率が高く、配慮事項の交渉も自分で行う必要があります。
就職方法の比較:自分に合うのはどれ?
| 方法 | 費用 | サポート | 未経験者 | スキル習得 | 就職までの期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| ハローワーク | 無料 | △ | ○ | × | 短い |
| 転職エージェント | 無料 | ◎ | △ | × | 短い〜中程度 |
| 就労移行支援 | 無料〜 | ◎ | ◎ | ◎ | 中〜長い(6ヶ月〜2年) |
| 求人サイト | 無料 | × | ○ | × | 短い |
| 直接応募 | 無料 | × | △ | × | 短い |
※就労移行支援の費用は前年の世帯収入に応じて決まります。多くの方が無料で利用しています。
結論
- 今すぐ働きたい+スキルがある → 転職エージェント、ハローワーク
- 未経験からスキルを身につけたい → 就労移行支援
- まずは情報収集から → 求人サイト、ハローワーク
複数の方法を併用することも可能です。たとえば「就労移行支援でスキルを身につけながら、求人サイトで情報収集する」という方法もあります。
IT・Web業界で働くために必要なスキル・資格
職種別に求められるスキル
- プログラミングが必要な職種:ITエンジニア、Webエンジニアなど。Python、Java、JavaScript、PHPなどの言語を職種に応じて学ぶ必要があります。
- デザインスキルが必要な職種:Webデザイナー、UI/UXデザイナーなど。Figma、Adobe XD、Photoshop、Illustratorなどのツールを使います。
- PC基本操作で始められる職種:IT事務、データ入力、テスターなど。Excel、Word、メールなどの基本操作ができれば応募可能な求人も多いです。
あると有利な資格
| 資格名 | 難易度 | 取得期間目安 | 就職への効果 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート | ★☆☆ | 1〜3ヶ月 | IT基礎知識の証明に。未経験者の第一歩として人気 |
| MOS(Excel/Word) | ★☆☆ | 1〜2ヶ月 | IT事務・データ入力で評価される |
| 基本情報技術者試験 | ★★☆ | 3〜6ヶ月 | エンジニア志望なら取得しておきたい国家資格 |
| Webクリエイター能力認定試験 | ★★☆ | 2〜4ヶ月 | Webデザイナー志望者向け |
| AWS認定クラウドプラクティショナー | ★★☆ | 2〜3ヶ月 | クラウド知識の証明。IT業界で評価が高い |
※資格は「あれば有利」程度です。IT業界は資格よりも実務経験やポートフォリオを重視する傾向があります。
スキルを身につける方法
- 独学:書籍、オンライン教材、YouTube等で学ぶ。費用を抑えられるが、挫折しやすい。
- オンラインスクール:体系的に学べるが、費用がかかる(数万円〜数十万円)。
- 職業訓練(ハロートレーニング):無料で学べるが、障害者向けコースは限定的。
- 就労移行支援:無料〜。障害特性に配慮しながら学べ、就職サポートも受けられる。
求人の探し方・おすすめのステップ
まずは求人を見てみる
いきなり応募する必要はありません。まずは「どんな求人があるのか」を見て、相場観をつかみましょう。ハローワークインターネットサービスや障害者向け求人サイトで「IT」「Web」「エンジニア」などのキーワードで検索してみてください。
自分の希望条件を整理する
求人を見ながら、勤務地(通勤時間はどのくらいまでOK?)・勤務時間(フルタイム or 時短?)・在宅勤務の有無・職種・必要な配慮事項を整理してみましょう。
相談窓口を活用する
一人で悩まず、専門家に相談することをおすすめします。ハローワーク障害者窓口(無料)、障害者就労支援センター(無料)、就労移行支援事業所(見学・相談は無料)などが利用できます。特にIT・Web業界への就職を目指すなら、IT系のカリキュラムを持つ就労移行支援事業所に相談すると、業界の具体的な情報を得られることがあります。
面接でよく聞かれること・答え方
障害者雇用の面接でよく聞かれる質問
- 障害について教えてください
- どのような配慮があれば働けますか?
- 体調管理はどのようにしていますか?
- なぜIT業界を希望するのですか?
- プログラミング(または該当スキル)の学習経験を教えてください
- ブランク期間は何をしていましたか?
障害の伝え方のコツ
「できないこと」だけでなく、「こういう配慮があればできる」「こういう工夫をしている」とセットで伝えましょう。企業は「この人を採用して活躍してもらえるか」を知りたいのです。たとえば「電話対応が苦手です」ではなく「電話対応は苦手ですが、チャットやメールでのコミュニケーションは問題ありません」と伝えると、企業も対応を考えやすくなります。
IT業界の面接では、技術的な質問をされることもあります。学習してきた内容やポートフォリオについて説明できるように準備しておきましょう。
就職後に気をつけること
長く働くためのポイント
- 最初から100%を目指さない(まずは職場に慣れることを優先)
- 困ったら早めに相談する(一人で抱え込まない)
- 体調管理を最優先にする(無理な残業は避ける)
- 少しずつでも学び続ける姿勢を持つ
困ったときの相談先
- 職場の上司・人事担当者
- 障害者就労支援センター
- 就労定着支援(利用していた場合、就職後6ヶ月〜最大3年間サポートを受けられる)
定着支援は、就職後に職場で困ったことがあったときに相談できるサービスです。就労移行支援を利用して就職した場合は、ぜひ活用してください。
あなたのタイプ別:次の一歩ガイド
「で、自分は何から始めればいいの?」とならないように、タイプ別に具体的な行動をお伝えします。
あなたのタイプ別:次の一歩ガイド
タイプA:経験がまったくない人
今週中にやること(どれか1つでOK)
- プログラミング学習サイトの無料レッスンを30分だけやってみる
- 求人サイトで「障害者 IT」と検索し、求人を3件だけブックマーク
- IT業界で「気になること・不安なこと」を3つ紙に書き出す
- YouTubeで入門動画を1本だけ見てみる
今月中にやること
- ハローワーク or IT系就労移行支援の見学を1件予約
- 「ITパスポート」の試験範囲をざっと眺める
タイプB:挫折・ブランクがある人
今週中にやること(どれか1つでOK)
- 以前やっていたスキルを10分だけ触ってみる
- 「なぜ挫折したか」「今回は何が違うか」を紙に書き出す
- 障害者向け求人サイトで未経験OKの求人を3件チェック
- 以前作ったコードやデザインを見返してみる
今月中にやること
- IT・Webが学べる就労移行支援の見学を1件予約
- ハローワークで「IT業界への就職方法」を相談
タイプC:スキルがあり就職を目指す人
今週中にやること(どれか1つでOK)
- 障害者向け転職エージェントに1社だけ登録
- 履歴書・職務経歴書のたたき台を作る(完成しなくてOK)
- ポートフォリオをまとめるフォルダを作る
- 応募できそうな求人を3件ピックアップ
今月中にやること
- 気になる企業に3社応募する
- 面接での「障害の伝え方」を整理して声に出して練習
上の行動は、全部やる必要はありません。この中から1つだけ選んで、今週中にやってみてください。1つ動くだけで、次に何をすればいいかが見えてきます。「30分だけ」「3件だけ」「1件だけ」で十分です。
まとめ:IT・Web業界で働くための第一歩
この記事のポイント
- IT・Web業界にはエンジニア、デザイナー、IT事務、テスターなど様々な職種がある
- プログラミングができなくても働ける職種はある
- 障害者雇用でも専門的な仕事に就くことは可能
- 就職方法は複数ある(ハローワーク、エージェント、就労移行支援など)
- 未経験からスキルを身につけたいなら、IT系カリキュラムのある就労移行支援という選択肢も
あなたの第一歩チェックリスト 今週中にやること(どれか1つでOK)
- スキルに触れてみる:プログラミング学習サイトやデザインツールを30分だけ触ってみる
- 求人を見るだけ:障害者向け求人サイトで「IT」「Web」の求人を3件だけチェックする
- 相談してみる:IT系の就労移行支援 or ハローワーク障害者窓口に見学・相談の予約を1件だけ入れる
この中から、「今の自分でもできそう」と思ったものを1つだけ選んで、今週中にやってみてください。1つ動くだけで、次に何をすればいいかが見えやすくなります。
この記事は2025年の情報に基づいて作成されています。制度や求人状況は変更される場合がありますので、最新情報は各窓口にお問い合わせください。
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この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

