この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「就労移行支援は健常者でも使えるのか」——この検索には、まったく違う2つの立場の方がたどり着きます。
ひとつは、障害や難病の診断がない方。もうひとつは、診断はあるけれど「見た目は健常者と変わらない」「障害者手帳を持っていない」から対象外ではないかと不安になっている方です。
結論は分かれます。診断も難病もない方は対象外です。一方、診断があって手帳がない方は対象になります。手帳の有無は利用条件ではありません。
- 就労移行支援の対象になる人・ならない人の境界線がわかる
- 障害者手帳がなくても使える公的な根拠がわかる
- 対象外だった場合に使える別の支援がわかる
診断も難病もない方は対象外です
就労移行支援は障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。対象になるのは、次のいずれかに当てはまる方です。
- 身体障害のある方
- 知的障害のある方
- 精神障害のある方(発達障害を含みます)
- 障害者総合支援法の対象となる難病等にかかっている方
そのうえで就労移行支援は、一般就労等を希望し、知識・能力の向上や実習、職場探しを通じて適性に合った職場への就労等が見込まれる65歳未満の方が対象とされています。
ここに当てはまらない方——つまり障害の診断も対象疾病もない方は、残念ながら制度の対象外です。「働くことに自信がない」「対人関係が苦手」といった困りごとがあっても、診断がなければ利用できません。
障害者手帳がなくても使えます
ここがいちばん誤解されている点です。障害者手帳は就労移行支援の利用条件ではありません。
厚生労働省の案内でも、障害福祉サービス等の対象となる方は「障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)をお持ちでなくても、必要と認められた支援が受けられます」と明記されています。
難病等の対象は376疾病に拡大した
障害者総合支援法の対象となる難病等は、2025年4月1日から369疾病が376疾病に広がりました。難病法にもとづく「登録者証」を持っていない方でも、障害者総合支援法の独自の対象疾病であればサービスを利用できます。自分の病名が対象かどうかは、市区町村の窓口で確認するのが確実です。
申請に必要なのは「疾病がわかる証明書」
手帳の代わりになるのは、対象の疾病にかかっていることがわかる診断書などです。これを持って市区町村の担当窓口に申請します。精神科や心療内科に通院している方であれば、主治医に相談すれば用意してもらえます。
対象かどうかを分けるのは手帳ではなく診断です。通院していて診断名がついているなら、手帳がなくても道は開いています。
手帳なしでの申請の流れは、受給者証とは?手帳なしでも0円|取り方・期間の完全ガイドで具体的に確認できます。
障害支援区分の認定も要りません
障害福祉サービスと聞くと、認定調査を受けて区分を判定される長い手続きを想像するかもしれません。ですが厚生労働省の案内には、訓練系・就労系サービス等は障害支援区分の認定を受ける必要がないと書かれています。
就労移行支援・就労継続支援A型・B型はいずれも就労系にあたるため、区分認定の調査が丸ごと省けます。そのぶん申請から利用開始までの期間は短く、自治体によっては1か月前後で受給者証が交付されます。
「区分認定が怖くて相談できずにいる」という方は、その心配は不要です。実際の手続きは、相談 → 見学 → 申請 → 受給者証の交付 → 契約 という流れで進みます。
対象外だった方が使える別の支援
診断がなく就労移行支援を使えない場合でも、就職に向けた公的な支援は用意されています。
ハローワークの職業相談・職業訓練
誰でも無料で使えます。公共職業訓練では、事務・IT・介護など幅広い分野の訓練を受けられます。在職中でも相談可能です。
求職者支援訓練
雇用保険を受けられない方向けの無料の職業訓練です。要件を満たせば訓練期間中に給付金を受け取れる仕組みもあります。
地域若者サポートステーション
働くことに一歩を踏み出せずにいる若年層向けの相談機関です。診断の有無を問わず利用でき、生活リズムづくりから相談できます。
また、これまで診断を受けたことがないだけで、通院すれば診断がつく状態の方もいます。仕事や対人関係の困りごとが長く続いているなら、まず医療機関に相談してみることが、結果として選べる支援を増やします。
よくある質問(FAQ)
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この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。
