この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「障害者雇用で働くと、給料はどのくらいもらえるんだろう…」
「ネットで見る『平均給与』と、自分の給料が全然違って不安になる」
「このまま働き続けて、ちゃんと生活していけるのか心配」
そんな不安を抱えているあなたに、この記事では障害者雇用の「平均給与」の本当の意味と、自分の給料をどう考え、どう改善していけばいいかを分かりやすく解説します。
統計に出てくる数字だけでは見えない現実、働き方や障害の種類による違い、障害年金や手当との関係、そして給料を上げていくための具体的なステップまで、お金の不安を整理して、次の一歩を踏み出すために必要な情報をすべてまとめました。
特に知っておいてほしいのは、「平均給与」はあくまで統計上の目安であり、あなた自身の価値や可能性を決めるものではないということです。大切なのは、自分の状況に合った働き方を見つけ、トータルの収入と生活のバランスを整えていくことです。
この記事で分かること
- 障害者雇用の「平均給与」とは何か、どんな数字なのか
- 一般雇用との違い、障害の種類や働き方による給与の差
- 統計の数字からは見えにくい、給料に影響する現実的な要素
- 自分の給料が「高いか低いか」を判断するための5つの視点
- 給料を上げやすい働き方やキャリアパターン
- 障害年金・手当と給与をトータルで考える方法
- 就職・転職活動で給与面を確認するときのポイント
まず結論:障害者雇用の平均給与と、あなたが知っておくべき3つのこと
障害者雇用における給与について、まず押さえておきたい重要なポイントを3つにまとめます。
「平均給与」は、あくまで統計上の目安であり、個人差が大きい
厚生労働省の調査によると、障害者雇用で働く人の賃金は、障害の種類や働く時間によっておおよそ13万〜23万円程度と幅があります。全体としては、15〜20万円台の人が多いイメージです。ただしこの数字は、フルタイムで働く人も短時間勤務の人も、事務職の人も軽作業の人も、すべて含めた「平均」です。あなたの働き方や仕事内容によって、この数字と大きく異なるのは当然のことです。
一般雇用との差はあるが、働き方次第で改善できる
一般雇用の平均と比べると、障害者雇用の給与水準は低めの傾向にあります。これは短時間勤務の割合が高いこと、体調に配慮した働き方を選ぶ人が多いことなどが影響しています。しかし、スキルを身につけたり、職種を変えたり、職場を変えることで、給与を上げていくことは十分可能です。
給与だけでなく、トータルの収入と生活の質で考える
障害者雇用で働く場合、給与に加えて障害年金や各種手当を受け取っている人も多くいます。また、通院への配慮や休みやすさ、在宅勤務の可否など、お金では測れない「働きやすさ」も生活の質に大きく影響します。給与の数字だけで判断せず、トータルで考えることが大切です。
障害者雇用の「平均給与」って何?数字の正体を整理しよう
「障害者雇用の平均給与」という言葉を聞いたとき、多くの人が「自分の給料と比べてどうなのか」を気にします。しかし、その前に「平均給与」とは何を指す数字なのかを理解しておくことが大切です。統計の数字には、必ず前提条件があります。その前提を知らないまま比較すると、不安ばかりが大きくなってしまいます。
どの調査の「平均給与」なのか
障害者雇用の給与に関する代表的な調査としては、厚生労働省が実施する「障害者雇用実態調査」があります。この調査は、従業員5人以上の事業所を対象に、障害者の雇用状況や賃金、労働時間などを調べたものです。
ただし、この調査には限界もあります。従業員5人未満の小規模事業所は含まれていません。また、調査時点での「在籍している人」のデータなので、短期間で離職した人や、これから就職する人の状況は反映されていません。
つまり、統計からわかるのは「ある時点での、ある条件を満たす事業所で働いている人の平均」であり、すべての障害者の給与を正確に示すものではないということです。自分の状況と完全に一致しなくても、それは当然のことなのです。
✓ 統計からわかること
- 従業員5人以上の事業所で働く人の平均賃金
- 障害種別ごとのおおまかな傾向
- フルタイムと短時間勤務の違い
- 全体的な給与水準のイメージ
× 統計からわからないこと
- 小規模事業所(5人未満)の実態
- 短期離職した人の状況
- 個人の体調や働き方の事情
- 福利厚生や職場環境の質
- あなた自身の適正給与
月給?年収?時給?数字の単位を確認する
給与の話をするとき、「月給」「年収」「時給」など、さまざまな単位が使われます。これらを混同すると、正しく比較できません。月給とは1ヶ月あたりの給与、年収とは1年間の総収入(月給×12ヶ月+賞与)、時給とはパート・アルバイトや短時間勤務の場合に使われる1時間あたりの給与です。これらを比較するときは、単位を揃える必要があります。
総支給と手取りの違いを押さえよう
求人票や統計に出てくる「給与」は、多くの場合「総支給額」を指します。これは、社会保険料や税金が引かれる前の金額です。実際に銀行口座に振り込まれる「手取り」とは異なります。
総支給額から引かれる主な項目は、健康保険料・厚生年金保険料(厚生年金に加入している場合)・雇用保険料・所得税・住民税(入社2年目以降)です。一般的に、手取りは総支給額の75〜85%程度になります。例えば、月給18万円(総支給)の場合、手取りは13万5千円〜15万3千円程度です。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料(加入している場合)
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税(入社2年目以降)
※手取りは総支給額の75〜85%程度が目安です
求人票を見るときや、給与について話すときは、「これは総支給額なのか、手取りなのか」を必ず確認しましょう。
障害者雇用の平均給与はいくら?最新データで見る実態
統計の数字の見方を理解したところで、実際のデータを見ていきましょう。ここでは、厚生労働省の調査をもとに、障害者雇用の平均給与の水準と、一般雇用との違いを整理します。
障害者雇用の平均給与|ざっくり水準
厚生労働省「障害者雇用実態調査」(令和5年度)によると、障害者雇用で働く人の1か月あたりの賃金は、障害の種類や働く時間によって大きく幅があります。障害種別の平均賃金(月額)は、身体障害者が約23.5万円、知的障害者が約13.7万円、精神障害者が約14.9万円、発達障害者が約13.0万円となっています。
全体としては、15〜20万円台の人が多いというイメージです。年収ベースでは、200万円台前後になるケースが多いとされています(賞与の有無や働く時間によって変動します)。フルタイムで働く人の平均は20万円以上ですが、短時間勤務の人では10万円未満の人も多くいます。
一般雇用の平均月給が30万円前後であることを考えると、障害者雇用の平均はその半分〜3分の2程度という水準です。この差が生まれる主な理由は、働く時間の違いと、職種・業務内容の違いです。
ここで大切なのは、この「平均」という数字は、あなた自身の価値を示すものではないということです。平均より低くても、それはあなたが劣っているからではありません。働き方や体調管理のペース、職場環境など、さまざまな要素が給与に影響するのです。
障害の種類・働き方による違い
障害者雇用の給与は、障害の種類や働き方によって大きく異なります。身体障害のある人は、フルタイムで働ける人の割合が比較的高く、平均月給は20万円台前半という結果も出ています。精神障害・発達障害のある人は、体調管理のために短時間勤務からスタートする人が多く、平均月給は13〜15万円前後とされることが多いです。ただし、スキルを身につけて専門職に就いた場合や、在宅勤務で安定して働けるようになった場合は、20万円以上の月給を得ている人もいます。知的障害のある人は、平均月給は13万円前後というデータもありますが、得意な作業を見つけて継続的に働き、昇給していくケースもあります。
※あくまで統計上の傾向であり、職種・企業規模・スキルによって大きく変動します。専門職や在宅勤務では、これ以上の給与を得ている人も多くいます。
企業規模・職種による違い
給与水準は、企業規模や職種によっても変わります。大企業(従業員1,000人以上)では、平均月給が18万円前後と比較的高めです。福利厚生も充実しており、賞与が支給される割合も高いです。中小企業(従業員300人未満)では、平均月給が13万円前後とやや低めですが、柔軟な働き方ができたり個別の配慮が受けやすかったりするメリットもあります。
- 事務職(書類作成・データ管理)
- IT関連職(Webデザイン・プログラミング)
- 専門職(経理・翻訳・CADなど)
- 在宅勤務可能な職種
- 軽作業(ピッキング・梱包・検品)
- 清掃・美化業務
- 物流補助・倉庫作業
- データ入力(基本操作のみ)
就労移行支援を活用してスキルを身につけ、給与水準の高い職種を目指す方法については、就労移行支援事業所の選び方ガイドもあわせてご覧ください。
統計の「平均」という数字を見て、「自分は平均以下だ」と落ち込む方がとても多いです。でも、実際の支援現場では、週3日で無理なく働いて月10万円稼ぎ、障害年金と合わせて生活を安定させている方、在宅勤務で専門スキルを活かして月20万円以上稼いでいる方、それぞれが自分に合った働き方を見つけています。数字はあくまで「全体の傾向」であり、あなた自身の可能性とは別物です。大切なのは、今の自分に合った働き方を見つけ、少しずつステップアップしていくことです。
市原早映(サービス管理責任者)
平均給与の数字からは見えにくい「現実」
統計の数字だけを見ていても、障害者雇用の給与の実態は見えてきません。ここでは、数字には表れにくい、給料に影響する現実的な要素を整理します。
短時間勤務・体調とのバランスが平均を押し下げる
障害者雇用では、体調管理のために短時間勤務を選ぶ人が多くいます。これが、平均給与を押し下げる大きな要因です。
例えば、精神障害や発達障害のある人の中には、フルタイムで働くと体調を崩してしまうため、週3〜4日、1日4〜6時間という働き方を選ぶ人が少なくありません。この場合、月収は8万円〜12万円程度になります。しかし、これは「能力が低いから給料が低い」わけではありません。自分の体調と向き合いながら、継続的に働ける環境を優先した結果なのです。
※時給1,100円・月の勤務日数を週数×4で計算した概算です。障害年金(例:月額6.8万円)を受給している場合、週3日勤務でもトータル月収は13.4万円程度になります。
職務内容・責任の範囲による給与の違い
同じ障害者雇用でも、どんな仕事を任されるかによって給与は大きく変わります。給与だけを見ると差がありますが、どの仕事が「良い」「悪い」ということはありません。自分の得意なこと、体調に合った働き方、やりがいを感じられることなど、総合的に考えることが大切です。
- 体を動かす仕事が好き
- コツコツと丁寧に作業できる
- 体調に合わせて働きたい
- デスクワークが好き
- データ管理や書類作成が得意
- 静かな環境で集中して働きたい
- 新しいスキルを学ぶ意欲がある
- 在宅勤務を希望している
- 給与を大きく上げたい
各職種の詳しいスキル習得方法については、データ入力・事務スキルやIT特化型事業所の選び方も参考にしてください。
福利厚生・職場環境という「お金以外の価値」
給料の数字だけでは測れない、「働きやすさ」という価値があります。通院への配慮、休みやすさ、在宅勤務の可否、職場の人間関係など、これらの要素が充実している職場では、結果的に生活の質は高くなることがあります。給料だけで職場を選ぶのではなく、トータルの「働きやすさ」と「給料」のバランスを見ることが大切です。
あなたにとって大事な条件は?
チェックした項目が、あなたの「働きやすさ」の軸です。給与だけでなく、これらをトータルで考えましょう。
自分の給料が「高いか低いか」を判断する5つの視点
「平均給与より高い」「平均より低い」という比較だけでは、自分の給料が適切かどうかは判断できません。ここでは、自分の状況に照らして給料を考えるための5つの視点を紹介します。この5つの視点で自分の状況を整理することで、「今の給料は本当に不利なのか」「どこを変えると改善しやすいか」が見えてきます。
視点①:働く時間と日数のバランス
まず確認すべきは、自分が週に何日、1日何時間働いているかです。週5日・1日8時間のフルタイムで月給15万円なら、時給換算で約940円です。一方、週3日・1日4時間で月給6万円なら、時給換算で約1,250円となり、時給としては悪くない水準です。単純に「月給が低い」と考えるのではなく、働いた時間に対してどうかを見ることで、適切な判断ができます。
視点②:仕事内容と求められるスキルレベル
次に考えるべきは、自分が担当している仕事の内容と、求められるスキルのレベルです。未経験からできる軽作業や清掃の仕事と、専門的なスキルが必要なIT職や事務職では、給与水準が異なるのは当然です。今の仕事で求められるスキルと給与水準が釣り合っているかを考えましょう。もし「もっと難しい仕事も任されているのに給料が上がらない」と感じるなら、上司に相談するか、転職を検討する材料になります。
給料の「高い・低い」を判断するとき、周囲と比べるのではなく、「今の自分の働き方と、仕事内容に対して適切か」という視点を持つことが大切です。実務上、最初は簡単な業務からスタートして、徐々に難しい仕事を任されるようになり、それに伴って給与が上がっていくケースが多いです。焦らず、今できることを着実にこなしながら、次のステップを考えていきましょう。
市原早映(サービス管理責任者)
視点③:企業規模・業界の相場
給与水準は、企業規模や業界によっても変わります。大企業では給与体系が整備されており、障害者雇用でも比較的高めの給与が設定されていることが多いです。中小企業では給与は低めでも、柔軟な働き方ができたり個別の配慮が受けやすかったりする利点があります。自分が働いている業界の相場を知ることで、「今の給料は業界的に見てどうか」が判断できます。
視点④:障害年金や手当とのトータル収入
障害者雇用で働く人の中には、障害年金や各種手当を受け取りながら働いている人も多くいます。給与だけでなく、トータルの収入で考えることが大切です。例えば、月給12万円で働いている人が、障害基礎年金2級(月額約6万8千円)を受け取っている場合、トータルの月収は約18万8千円です。これは、給与だけで見るよりもずっと安定した収入です。
ただし、給与が増えると年金に影響が出るかどうかが心配な方もいると思います。この点は後のセクションで詳しく説明します。また、工賃・給料比較の詳しい解説もあわせてご参照ください。
視点⑤:通勤負担・体調管理のしやすさ
給料が高くても、通勤に片道1時間以上かかり、満員電車でストレスを感じながら働くのと、給料は少し低くても在宅勤務で体調管理がしやすい環境で働くのと、どちらが良いでしょうか。お金では測れない「コスト」があります。給料が平均より低くても、体調が安定して長く働き続けられるなら、結果的にトータルの収入は増えます。逆に、給料が高くても頻繁に体調を崩して休職してしまうと、収入は不安定になります。
5つの視点で自己診断
視点①:働く時間と日数
視点②:仕事内容とスキル
視点③:企業規模・業界
視点④:トータル収入
視点⑤:働きやすさ
📊 診断のポイント
「低い」を選んだ項目が3つ以上ある場合は、給与アップや働き方の見直しを検討する時期かもしれません。支援者や専門家に相談してみましょう。「普通」「良い」が多い場合は、今の働き方を継続しながら、少しずつステップアップを目指しましょう。
給与を上げやすい働き方・キャリアパターン
「このまま低賃金なのか?」という不安に対して、現実的に給与アップが見込める選択肢やステップを紹介します。給与を上げる方法は、大きく分けて4つのパターンがあります。
今の職場で少しずつ業務の幅を広げ、評価を得て昇給を目指す
こんな人に向いている
- 今の職場に満足している
- 少しずつステップアップしたい
- 安定を優先したい
専門スキルを身につけて、より給与水準の高い職種に転職する
こんな人に向いている
- 新しいことを学ぶ意欲がある
- 給与を大きく上げたい
- 在宅勤務を希望している
就労移行支援でスキルを学び、専門職として再就職する
こんな人に向いている
- まとまった時間が取れる
- 専門家のサポートを受けたい
- ゼロからスキルを学びたい
今の経験を活かして、より条件の良い職場に転職する
こんな人に向いている
- 今の職場で昇給が難しい
- 自分の市場価値を試したい
- より良い条件を探したい
就労移行支援を活用したリスキリングについて詳しくは、就労移行支援事業所の選び方完全ガイドをご覧ください。料金や利用方法については料金・自己負担ガイドも参考になります。
パターン①:同じ職場で業務の幅を広げるケース
まず考えられるのは、今の職場で少しずつ業務の幅を広げ、評価を得て昇給していく方法です。最初は簡単な作業からスタートし、慣れてきたら少し難しい業務も任せてもらえるようお願いします。業務の幅が広がれば、それに応じて評価も上がり、昇給の可能性が高まります。また、契約社員から正社員への登用制度がある企業では、実績を積むことで正社員になれるチャンスもあります。
パターン②:スキルを身につけて職種チェンジするケース
今の仕事とは違う、より専門性の高い仕事にチャレンジして給与を上げる方法です。例えば、軽作業をしていた人がパソコンスキルを身につけて事務職に転職する、事務職をしていた人がWebデザインやプログラミングを学んでIT職に転職するケースなどがあります。特に、在宅勤務が可能なIT職は、通勤が難しい人にとって大きなメリットがあります。生成AIスキルやPC基礎スキルの習得から始めるのも一つの方法です。
パターン③:就労移行支援などを活用した「リスキリング」
就労移行支援事業所では、就職に必要なスキルを学ぶことができます。特に、IT特化型の事業所では、Webデザインやプログラミングなどのスキルをゼロから学べます。就労移行支援は、障害福祉サービス受給者証があれば無料または低額で利用できます(前年度の世帯所得に応じて月額の上限が決まり、多くの方は自己負担0円で利用されていますが、一部の世帯では自己負担が発生する場合もあります)。2年間の利用期間中に、スキルを身につけて、より給与の高い仕事に就職することができます。
パターン④:転職で待遇を改善するケース
今の職場でこれ以上の給与アップが見込めない場合、転職を検討する方法もあります。同じ職種でも、企業規模や業界が違えば給与水準は変わります。転職活動では、障害者専門の転職エージェントを利用すると、給与面の交渉もサポートしてもらえます。また、就労定着支援を活用しながら、安定して働き続けることを前提にした転職計画を立てることも大切です。
障害年金・手当と給与の関係をざっくり理解する
障害者雇用で働く人の多くが抱える疑問が、「働きすぎると年金が減るのか」「トータルの収入はどうなるのか」ということです。ここでは、その関係性をざっくりと整理します。
トータル収入で考えるという発想
給与だけで生活を考えるのではなく、給与+障害年金+各種手当=トータル収入で考えることが大切です。
トータル収入の考え方(例)
Aさん(週4日・短時間勤務)の場合
給与収入
月10万円
障害基礎年金2級
月6.8万円
トータル月収:約16.8万円
給与だけで見ると平均より低めですが、年金と合わせれば基本的な生活は可能な水準です
Bさん(フルタイム勤務)の場合
給与収入
月18万円
障害厚生年金3級
月5万円程度
トータル月収:約23万円
※障害厚生年金の額は加入歴や報酬額で変わります。給与収入により調整される場合もあります
年金・手当と就労収入のよくある勘違い
勘違い①:「働くと年金が止まる」
障害基礎年金(1級・2級)は、原則として「働いているから」という理由だけでただちに減額・停止されるものではありません。ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金には所得制限があり、前年の所得額によっては支給が一部または全部停止される場合があります。
勘違い②:「20万円以上稼ぐと年金が減る」
20万円という具体的な基準はありません。障害厚生年金の調整は、給与と年金の合計額が一定の基準額を超えた場合に行われます。詳細は複雑なので、必ず年金事務所や社会保険労務士に確認してください。
勘違い③:「手当をもらっていると働けない」
特別障害者手当など、障害の程度が重い人向けの手当は所得制限がありますが、働いてはいけないわけではありません。一定以上の収入があると支給停止になるという仕組みです。自分が受けている手当の条件を確認しましょう。
「働くと年金が減る」という誤解から、働くことをためらう方がとても多いです。実際には、障害基礎年金は原則として働くことだけで減額されませんし、20歳前障害の所得制限や障害厚生年金の調整も複雑な計算式があります。単純に「いくら稼ぐと損」とは言えません。年金と給与のバランスが心配な場合は、必ず年金事務所や社会保険労務士に相談してください。一人で悩まず、専門家の力を借りることが大切です。
市原早映(サービス管理責任者)
支援者・専門機関への相談のすすめ
年金や手当と給与の関係は複雑で、個別の状況によって大きく異なります。インターネットの情報だけで判断せず、必ず専門家に相談しましょう。
🏢 年金事務所
障害年金の支給条件や、働くことによる影響を確認できます。
👩💼 社会保険労務士
年金・保険の専門家です。有料ですが、詳細なアドバイスを受けられます。
🏫 就労移行支援事業所
就労と年金のバランスについて、一般的なアドバイスを受けられます。
🏛️ 自治体の福祉課
手当の支給条件や、働くことによる影響を確認できます。
就職・転職活動で「給与面」を確認するポイント
求人票や面接で、給与面について何をどう確認すればよいか、具体的なポイントを紹介します。求人票の見方や確認ポイントについては、就職実績の正しい見方もあわせて参考にしてください。
求人票で必ず確認したい項目
求人票を見るときは、①月給・時給の金額と内訳(基本給がいくらで、どんな手当が含まれているか)、②勤務時間・勤務日数、③社会保険の加入有無、④賞与(ボーナス)の有無、⑤昇給の制度、の5点を必ずチェックしましょう。固定残業代が含まれている場合は、実質的な基本給が低くなります。
求人票チェックリスト
① 給与・待遇
② 勤務時間・勤務日数
③ 社会保険・福利厚生
④ 働きやすさ
面接・見学で聞いておきたいこと
💰 給与について
「生活費の計画を立てたいので、手取りがどのくらいになるか教えていただけますか?」
「昇給の機会はありますか?評価制度はどのようになっていますか?」
📋 業務内容について
「具体的にどのような業務を担当しますか?」
「将来的にスキルアップしたいのですが、それに応じて業務の幅も広がりますか?」
🏥 配慮について
「定期的な通院があるのですが、勤務時間の調整は可能でしょうか?」
「体調不良時の休暇取得について、どのような対応をしていただけますか?」
⏰ 勤務形態について
「最初は短時間勤務からスタートして、徐々に時間を延ばすことは可能ですか?」
「在宅勤務の制度はありますか?利用条件を教えてください」
支援者と一緒に「お金の話」をするコツ
給与のことを一人で抱え込まず、就労移行支援事業所のスタッフや、就労定着支援の担当者に相談することも有効です。「今の給料で生活していけるか不安です」「もう少し給料を上げたいのですが、どんな方法がありますか?」「給料について職場に相談したいのですが、どう伝えればいいでしょうか?」といった相談をしてみましょう。支援者は多くの事例を知っているので、現実的なアドバイスをもらえます。
お金の不安と付き合いながら働き続けるために
すぐに大幅な給与アップが難しい現実の中で、どう不安と付き合い、次の一歩を考えればいいかを整理します。お金の不安は、誰もが抱えるものです。しかし、不安に押しつぶされる前に、今できていることを確認し、小さな一歩を積み重ねていくことが大切です。
今の自分を確認し、次の一歩を考える
✓ 今できていること
→ これから取り組みたいこと
チェックした「今できていること」は、あなたの大きな財産です。「これから取り組みたいこと」は、どれか一つから小さく始めてみましょう。
お金の不安は尽きないものですが、大切なのは「今の自分にできることを、着実に積み重ねる」ことです。私がこれまで支援してきた方の中には、最初は週2日・時給1,000円からスタートして、数年かけて正社員になり、月給20万円以上を得るようになった方もいます。焦らず、自分のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。一人で悩まず、支援者や専門家の力を借りることを忘れないでください。
市原早映(サービス管理責任者)
まとめ:障害者雇用の平均給与の3つのポイントと次の一歩
- ①「平均給与」は統計上の目安であり、あなた個人の価値や可能性を決めるものではない。大切なのは、自分の体調や生活に合った働き方を選びながら、「トータルの収入」と「働きやすさ」のバランスを少しずつ整えていくことです。
- ②給与だけでなく、トータルの収入と働きやすさで判断する。給与に加えて、障害年金や手当、福利厚生、職場環境なども含めて、総合的に考えましょう。
- ③給与を上げる方法は複数あり、焦らずステップを踏んでいける。同じ職場で業務の幅を広げる、スキルを身につけて職種を変える、転職するなど、今の自分にできることから始めていきましょう。
次にやるべきこと
よくある質問(FAQ)
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この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

