この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「就労継続支援B型を使いたいけれど、自分は条件に当てはまるのだろうか」「障害者手帳を持っていないと申し込めないのでは」——B型を調べ始めた方から、いちばん多く届く不安です。
結論から言うと、B型の利用条件は3つのうちどれか1つに当てはまれば満たせます。年齢の上限もなく、手帳が必須という決まりもありません。
ただし2025年10月から、3つ目の要件で受けるアセスメント(就労面の課題を整理する事前評価)の担い手が変わりました。この点に触れていない解説記事がまだ多く残っています。
- B型の利用条件3つを、国の通知の文言どおりに確認できる
- 2025年10月に変わった「申請前のアセスメント」の中身がわかる
- 条件を満たしたあとの工賃・利用料・利用期間の目安がわかる
就労継続支援B型の利用条件は「3つのうちどれか1つ」
厚生労働省が示している就労継続支援B型の対象者は、次のとおりです。すべてを満たす必要はなく、いずれか1つに当てはまれば対象になります。
企業等やA型での就労経験があり、年齢や体力の面で雇用されることが困難になった方
過去に働いた経験があることが前提です。正社員に限らず、アルバイト・パート・就労継続支援A型での勤務も「就労経験」に含まれます。体調や体力の変化で、雇用契約を結んで働き続けることが難しくなった方が想定されています。
50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
この2つは、就労経験の有無を問わずに当てはまります。どちらか片方で構いません。年齢か年金の等級という客観的な条件なので、判断で迷うことがほとんどありません。
1・2のどちらにも当てはまらず、アセスメントで就労面の課題を整理した方
特別支援学校を卒業してすぐの方や、就労経験がなく50歳未満の方は、ここに入ります。事前に「働くうえで何が得意で、どこに支援が要るか」を評価してもらったうえで、B型の利用に進みます。
1と2は「該当すればそのまま申請できる」入口、3は「事前の評価を1つはさむ」入口です。まず1と2に当てはまらないかを確認すると、手続きが最短になります。
このほかに、すでに企業で働いている方が一時的にB型を利用できる仕組み(労働時間の延長や休職からの復職を目指す場合)も設けられています。
2025年10月から変わった「申請前のアセスメント」
3つ目の要件で受けるアセスメントは、長らく就労移行支援事業所などが担ってきました。ここが2025年10月1日から「就労選択支援」という新しいサービスに切り替わっています。
厚生労働省の通知では、この日以降は就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面の課題を把握したうえでB型を利用する、とされています。あわせて、次の例外も明記されました。
就労選択支援はどんなサービスか
短期間の作業体験を通じて、働くことについての希望・適性・必要な配慮を本人と一緒に整理するサービスです。支給決定の期間は原則1か月、1か月以上かけて作業体験を続ける必要がある場合は2か月と定められています。アセスメントの結果は本人と協同して作成され、その後の支給決定で参考にされます。
A型・就労移行支援はいつから対象になるのか
就労選択支援が先に必須になったのはB型だけです。新たにA型を利用したい方と、就労移行支援を標準利用期間(2年)を超えて使いたい方は、支援体制の整備状況を踏まえつつ2027年4月以降に原則利用となる予定です。A型については通知でも「当面の間、就労選択支援を利用することは必須ではない」とされています。
就労移行支援とB型のどちらが自分に合うか迷っている段階なら、就労移行支援・A型・B型の選び方ガイドで先に整理しておくと、相談窓口でのやりとりがスムーズになります。
年齢・障害者手帳・診断名の条件はどうなっている?
年齢の上限はない
就労移行支援には「65歳未満」という条件がありますが、B型に年齢の上限はありません。要件2に「50歳に達している者」が入っているとおり、むしろ年齢を重ねた方の受け皿として想定されています。
障害者手帳は必須ではない
障害福祉サービスは、障害者手帳がなくても、必要と認められれば利用できます。身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)に加えて、障害者総合支援法の対象となる難病等は2025年4月1日から376疾病に広がりました。対象の疾病にかかっていることがわかる診断書などを持参して、市区町村の窓口に申請します。
障害支援区分の認定は要らない
介護系のサービスでは障害支援区分の認定が必要ですが、B型を含む就労系サービスは区分の認定を受ける必要がありません。区分認定の調査が丸ごと省けるぶん、申請から利用開始までの期間は短くなります。
手帳がない状態での申請の進め方は、受給者証とは?手帳なしでも0円|取り方・期間の完全ガイドで具体的に確認できます。
条件を満たしたあとに知っておきたい3つのこと
利用期間に制限がない
就労移行支援の標準利用期間が2年であるのに対し、B型には利用期間の制限がありません。何年通っても構いませんし、体調に合わせて週1日から始めることもできます。
工賃は「賃金」ではない
B型は雇用契約を結ばないため、受け取るお金は賃金ではなく工賃です。最低賃金は適用されません。ただし国の指定基準では、1人あたりの平均工賃が月額3,000円を下回ってはならないと定められており、これを満たさない事業所には重点的な指導監査が入ります。
利用料は世帯の所得で決まる
サービスの利用料には所得に応じた上限額が設けられており、多くの方が自己負担0円で通っています。昼食代や送迎など実費がかかる場合はあるので、見学のときに確認しておくと安心です。
工賃はいくら?都道府県別の実額(2024年度)
厚生労働省が公表した2024年度(令和6年度)の実績では、B型事業所の平均工賃は月額24,141円、前年度比106.6%でした。集計対象は18,245事業所です。同じ年度のA型事業所の平均賃金は月額91,451円(4,220事業所)で、雇用契約の有無で金額の桁が変わります。
| 都道府県 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 全国平均 | 22,649円 | 24,141円 |
| 東京都 | 23,534円 | 24,283円 |
| 千葉県 | 20,932円 | 23,646円 |
| 埼玉県 | 20,287円 | 21,528円 |
| 神奈川県 | 21,661円 | 23,307円 |
| 茨城県 | 19,882円 | 21,399円 |
| 愛知県 | 24,766円 | 27,069円 |
| 大阪府 | 18,176円 | 19,747円 |
| 兵庫県 | 19,140円 | 20,664円 |
| 京都府 | 23,353円 | 24,743円 |
出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」別紙3。なお2024年度の報酬改定で平均工賃月額の算定方式(分母)が変わっており、2022年度以前の数値とは単純に比較できません。
同じB型でも、地域によって7,000円以上の開きがあります。工賃は事業所ごとの仕事内容によっても変わるため、見学時に「直近1年の平均工賃はいくらか」を直接たずねるのが確実です。収入の考え方は就労移行支援で給料はもらえる?A型B型との差と生活費でくわしく扱っています。
よくある質問(FAQ)
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この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。
