この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「未経験からIT分野で働きたいけど、どの就労移行支援を選べばいいんだろう?」 「プログラミングもAIも、何から学べばいいか分からない…」
その悩み、この記事がすべて解決します。
この記事は、あなたが**「IT分野に興味がある」というスタート地点から、「自分に合った事業所を見つけ、理想の職場で働き始める」というゴールまで**たどり着くための、具体的な「5ステップの完全ロードマップ」です。
この通りに進めれば、あなたはもう事業所選びで迷うことはありません。
まずは要点(ここだけ押さえればOK)
目標職種と働き方(通所/在宅/ハイブリッド)を最初に固定し、学習内容と求人事例が一致しているかを見る。
資格は”手段”。ITパスポートやMOS等は就職の土台づくり、採用ではポートフォリオ/実務課題の完成度がより重要。
講師の実務経験(現場歴・指導年数・週あたりの個別指導時間)と企業連携/模擬案件の有無を確認。
就職実績は内訳まで:職種別の人数、定着率(3か月/6か月/1年)、賃金の中央値、雇用形態、在宅割合を開示しているか。
配慮事項(感覚過敏、疲労、通院など)に合わせた学習ペース調整と就職後フォローの仕組みを必ず確認。
この記事の進め方(5ステップ・ロードマップ)
STEP 1: まず「なぜIT分野か」を知る
STEP 2: 次に「自分の進むべき道」を決める
STEP 3: そして「事業所(学びの場)」を評価する
STEP 4: さらに「就職実績(出口)」を見極める
STEP 5: 最後に「見学・体験」で最終確認する
STEP 1:なぜ今、IT分野が注目されるのか?
まず、IT分野を選ぶメリットを確認しておきましょう。
- 需要の高さ
詳しく解説
IT人材は多くの業界で求められており、求人数も安定しています。DX推進により、従来の事務系職種でもIT知識が重宝されています。 - 働き方の柔軟性
詳しく解説
在宅ワークやフレックスタイムなど、特性に合わせた働き方を実現しやすいです。通勤が困難な方や、集中できる環境が必要な方に適しています。 - 論理的思考との親和性
詳しく解説
プロセスが明確な業務も多く、ロジカルな思考や細かい作業が得意な方に向いています。ルールに基づいた作業が中心となる職種も豊富です。
補足: ここでいうAIは「機械学習の専門職」に限らず、Excel/関数・Power BI/Looker・RPA(Power Automate/UiPath)など**実務で使う”データ/自動化リテラシー”**を含みます。
STEP 2:自分の進むべき道(職種)を決める
数あるIT職種の中から、あなたの興味や適性に合ったゴール(職種)を見つけましょう。
代表職種と必要スキル早見表
代表職種 | 主な業務 | 必要スキルの目安 |
---|---|---|
ITサポート・ヘルプデスク | アカウント発行、機器設定、問い合わせ対応、チケット起票 | PC基礎、Office、社内ツール(Teams/Slack)、チケット管理(Jira/Redmine) |
QA/テスター | テスト設計・実行、バグ報告 | テスト観点、手順書作成、バグ管理、報告書作成 |
Web制作/コーディング | LP制作、WordPress更新、簡単なJS | HTML/CSS、CMS、基本的なSEO/アクセシビリティ |
データアシスタント | データ入力/整形、簡単な可視化 | Excel/関数、Googleスプレッドシート、BI基礎(Power BI/Looker Studio) |
RPA/ノーコード運用 | 定型業務の自動化、フロー保守 | Power Automate/UiPath基礎、業務整理、エラー対応 |
事務×IT(DX補助) | 文書テンプレ整備、マクロの運用、手順化 | Excel/VBAやGASの基本、情報整理、ナレッジ作成 |
ケーススタディ(選び方の具体例)
- 例1:未経験・30代/データ可視化に興味
詳しく解説
優先:Excel/関数→BI基礎→データ整形の実務課題→社内想定のレポート作成。
避ける:高度な機械学習だけに偏るカリキュラム。
ポートフォリオ例:売上ダッシュボード(疑似データ)、改善提案スライド。 - 例2:発達特性があり、集中持続が短い
詳しく解説
優先:短時間×高頻度の個別フィードバック、在宅併用、チャットでの非同期連絡。
配慮:ノイズ対策、予定変更時のルール明確化、マニュアル/手順化の練習。 - 例3:在宅就労志向/Web更新業務
詳しく解説
優先:WordPress更新、LP修正、アクセシビリティ基礎、ドキュメント整備。
ポートフォリオ例:LP改善前後の比較、運用マニュアルのサンプル。
未経験から挑戦する場合のアドバイス: まずは習得しやすく汎用性がある職種(ITサポート/QA/データ整形)を候補に。Web制作やRPAは適性や学習ペースに応じて追加します。
STEP 3:事業所(学びの場)を評価する
進むべき道が決まったら、それを実現するための最高の「学校」を選びます。事業所の「教え方」と「サポート体制」を見極めるポイントを解説します。
IT・AIに「強い」事業所を見分ける5ポイント
- カリキュラムの深さ
基礎PC→実務課題→ポートフォリオの流れがあるか。
基礎PCスキルを学んだ後、Git(コード管理)、issue(課題管理)、レビュー(コード確認)といった現場必須ツールを使い、実務課題を経てポートフォリオを完成させる流れが理想です。 - 講師・支援体制
講師の現場経験と個別指導の時間が十分か。
講師の現場年数や担当領域、週あたりの個別指導時間、質問対応までの待ち時間を確認。レビュー例や添削の具体性も事前に見せてもらえると安心です。 - 企業連携
実習やプロジェクトが就職につながっているか。
実習回数よりも実習から採用につながった割合や事例が重要。匿名でも年度・業界・職種の内訳が説明できるかを確認しましょう。 - 成果物の質
ポートフォリオが第三者に説明できる形か。
成果物がGitHubやNotion、スライドで整理され、可読性(見やすさ)、再現性(手順通り再現可能)、汎用性(他案件にも応用可能)が備わっていると評価が上がります。 - 実績の透明性
就職者数や定着率が職種別に公開されているか。
就職者数は分母や集計期間と合わせて確認。職種別内訳、雇用形態、定着率(3/6/12か月)まで開示されていれば比較の信頼性が高まります。
カリキュラムの見方(チェックポイント)
1. 基礎→実務→ポートフォリオの流れ PC/Office基礎→課題演習→実務シミュレーション(Git/issue/レビュー)→成果発表の一連を提供しているか。
2. 講師・個別指導 現場経験(年数、担当業務)を講師プロフィールで確認できるか。 週◯時間の個別フィードバック枠が確保されているか(レビューの待ち時間が長いと進捗が止まりやすい)。
3. 実務課題・企業連携 模擬案件:LP改善、ECデータ整備、テスト設計、ダッシュボード作成など実務に近い課題があるか。
4. ポートフォリオ支援 成果物の形式:GitHub(コード)/Notion(仕様書・手順書)/スライド(提案)/BIダッシュボード など。
5. ビジネススキル・働き方訓練 リモート時のタスク管理/報連相/朝会/日報の習慣化。 面談練習(障害特性の伝え方、業務設計、配慮事項の合意形成)。
STEP 4:就職実績(出口)を見極める
その事業所の「出口」の質、つまり卒業生がどのような条件で、どんな企業に就職しているかを確認します。
実績の見方
- 就職率だけで判断しない
詳しく解説
分母(利用者数)、対象期間、退所理由の内訳も合わせて確認。職種別内訳や定着率も併せて見ることで、より正確な比較が可能です。 - 職種内訳
詳しく解説
ITサポート/QA/Web/データ/RPAなどどの職種に何名か。あなたの希望職種での実績があるかを必ず確認。 - 定着率
詳しく解説
3か月・6か月・1年の時点での在籍割合。配慮の継続状況も確認できるとより良いです。 - 雇用形態・働き方
詳しく解説
常勤/非常勤、在宅/出社/ハイブリッド、所定労働時間。希望する働き方での実績があるかを確認。 - 賃金の中央値
詳しく解説
平均値だけでなく中央値も分かると実態により近い情報が得られます。
求人事例の見方
確認すべきポイント:
- 企業規模・部署:◯◯名規模/情報システム部など
- 雇用形態・期間:有期/無期、試用期間、更新の考え方
- 業務範囲:問い合わせ一次受け/テスト設計と実施/データ可視化など
- 使用ツール:Jira/Redmine、Teams/Slack、Git、BI、RPA など
- 働き方:在宅可否、出社頻度、フレックス/短時間
- 配慮事項の想定:通院・感覚過敏・集中持続時間の目安 等
STEP 5:見学・体験で最終確認する
ロードマップの最終ステップです。オンラインの情報だけでは分からない、事業所の雰囲気や支援の質を、あなたの肌で感じ取りましょう。
見学〜体験でのチェックリスト
見学〜体験でのチェックリスト
よくある質問(FAQ)
プログラミング未経験でもIT系に就職できますか?
可能です。まずは非プログラミング領域(テスト/ITサポート/データ整形)から始め、成果物を積み上げるルートが現実的です。
資格は何から取れば良いですか?
目的により異なります。全体理解はITパスポート、Office実務はMOS、データは関数/BI基礎、QAはテスト技法などゴール逆算で選びましょう。
在宅訓練だけで就職は可能?
可能ですが、タスク管理・報連相・オンラインでのチーム作業の訓練は必須です。面接で働き方を具体に説明できるようにします。
どのくらいの期間で内定まで進めますか?
目安は12〜24週間。既存スキルや体調、学習時間により前後します。
年齢が高いと不利ですか?
年齢より再現性のある成果物と働き方の整備が重視されます。改善提案やドキュメント化で強みを示せます。
ポートフォリオは何本必要? 職種にもよりますが、2〜3本を目標に。1本は個人制作、1本はチーム/実習由来だと説得力が増します。
出典・一次情報
- 障害者総合支援法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省:就労移行支援(制度概要・PDF)
- 障害福祉サービス等報酬改定(告示・通知・Q&A)
- 厚生労働省:統計(障害福祉・関連統計)
- ハローワーク インターネットサービス(求人票仕様等)
- 職業情報提供サイト(Job Tag)
- Microsoft Learn/Power Platform 公式ドキュメント
- Google Cloud/Looker Studio 公式ヘルプ
- GitHub Docs(バージョン管理の基礎)

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。