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就労移行支援でデータ入力・事務スキルは学べる?学習内容・向き不向き・就職先まで完全解説

この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。

データ入力や事務の仕事に興味を持ったあなた。でも、こんな疑問を抱えていませんか?

  • 「パソコンがほとんど使えないけど、本当に大丈夫?」
  • 「体調に波があって毎日通えないかもしれない…」
  • 「資格も経験もないけど、就職できる?」
  • 「在宅でも訓練を受けられる?」
  • 「40代・50代でも受け入れてもらえる?」

安心してください、データ入力・事務スキルに対応した就労移行支援事業所なら、パソコンの電源の入れ方から、実務で使えるレベルまで、段階的に学べます。在宅訓練に対応している事業所も多数ありますのでこの記事では具体的な学習内容から事業所の選び方まで詳しく解説しています。

【重要】データ入力・事務スキルは比較的多くの事業所で対応していますが、カリキュラムの充実度には大きな差があります。基本的なタイピング練習のみの事業所から、実務レベルのExcel関数やデータベース操作まで教える事業所まで幅広いため、事業所選びが非常に重要です。

この記事で分かること:

  • データ入力・事務職を目指すための具体的な学習内容と期間
  • 自分の障害特性や年齢でも就職を目指せるか
  • 事業所の選び方と見学時の質問ポイント
  • 実際の就職先・業務内容・給与水準
  • 利用にかかる費用と手続きの流れ

読み終える頃には、「自分にもできそう」「ここから始めればいいんだ」と具体的な行動イメージが湧いているはずです。


目次

就労移行支援でデータ入力・事務スキルを学ぶ3つの大きなメリット

1. 経済的負担がほとんどない

  • 利用料:前年の世帯収入(本人と配偶者)に応じて決定(多くの方が無料)
  • 最大2年間の利用が可能
  • 基本的なPC・ソフトウェアは事業所が用意
  • 教材費も利用料に含まれる
  • 交通費補助のある事業所も存在

民間のPCスクールは10万〜30万円かかりますが、就労移行支援なら前年の世帯収入に応じた負担額のみ。住民税非課税世帯なら完全無料で学べます。

2. 個別サポートで確実にスキルアップ

  • 学習進度に応じたカリキュラム調整
  • 定期的な個別面談でモチベーション維持
  • わからないところは何度でも質問可能
  • メンタルヘルス面でのケアも充実

あなたのペースに合わせた個別学習が基本です。「他の人についていけない」という心配はいりません。

3. 学習から就職まで一貫サポート

  • スキル習得から就職活動まで一貫支援
  • 履歴書・面接対策も充実
  • 企業実習・インターンシップの機会
  • 就職後の定着支援も継続(6ヶ月〜3年程度)

独学との最大の違いは、就職後まで見据えたサポート体制。データ入力や事務職は障害者雇用枠での求人が比較的多く、就職実績も豊富です。


未経験・初心者でも本当に大丈夫?

  • 多くの利用者が、PC未経験またはほぼ未経験の状態からスタートしています
  • マウスの使い方、キーボードのホームポジションから学習
  • タイピングは1日15分の練習から開始
  • 理解度に応じてペース調整可能

就労移行支援を利用する方の大半がPC初心者です。「パソコンを触るのが怖い」という方でも、段階的に慣れていけるカリキュラムが用意されています。電源の入れ方、マウスの持ち方といった本当の基礎から教えてもらえるので、焦る必要はありません。


自分の障害特性でも受け入れてもらえる?

特性別の相性と配慮例

特性 データ入力・事務職との相性 配慮例
集中力の持続が難しい 25分作業→5分休憩のサイクル導入、タスクの細分化
対人コミュニケーションが苦手 一人で黙々と作業できる環境、チャットでの質問対応
こだわりが強い・細部にこだわる 正確性が求められる作業で強みに、チェックリスト活用
体調の波がある 在宅訓練併用、短時間からの段階的訓練、休憩時間の柔軟な設定

データ入力・事務職は、対人コミュニケーションが少なく、正確性とコツコツ続ける力が評価される分野です。多くの方の特性と相性が良い場合が多い仕事です。


データ入力・事務職に向いている人・向いていない人

こんな人におすすめ

【チェックリスト】

上記で3つ以上当てはまれば、データ入力・事務職はあなたに向いている可能性が高いです。特に「同じ作業を繰り返すのが苦にならない」「細かいミスに気づくのが得意」という2つが当てはまる方は、適性が高いと言えます。

注意が必要な人

  • マルチタスクが求められる環境が苦手な方(事務職でも電話対応など複数業務を同時にこなす場合がある)
  • 長時間同じ姿勢でいるのが辛い方(デスクワーク中心のため、適度な休憩やストレッチが必要)

これらに当てはまっても、配慮や工夫次第で十分に活躍できます。事業所で相談しながら自分に合った働き方を見つけていけます。


在宅ワークは可能?リモート事務の現実

データ入力・事務職のリモートワーク状況

  • 障害者雇用枠でのフルリモート求人は、全体から見るとまだかなり少ないのが現状です
  • 週1〜2日在宅のハイブリッド型は増加傾向
  • 完全在宅は実績・信頼関係構築後に移行するケースが多い

データ入力や事務職は、業務内容的には在宅ワークと相性が良い分野です。ただし、障害者雇用枠では「まずは出社して仕事を覚える→信頼関係ができたら在宅へ移行」というパターンが一般的。最初から完全在宅を希望する場合、選択肢は限られます。

在宅訓練で身につけるべきスキル

  • セルフマネジメント能力(時間管理、進捗報告)
  • チャットツール(Slack、Teams)でのコミュニケーション
  • クラウドストレージ(Google Drive、OneDrive)の操作
  • Web会議ツール(Zoom、Google Meet)の使い方

就労移行支援の在宅訓練では、これらのスキルも並行して学べます。詳しくは後述の「在宅訓練・他サービス併用について」の章をご覧ください。


具体的に何をどう学ぶのか?

学習内容の例(段階別)

基礎段階(1〜3ヶ月目)

  • タイピング練習(ホームポジション、ブラインドタッチ)
  • Windows基本操作(ファイル管理、フォルダ整理)
  • Word基礎(文書作成、書式設定、表作成)
  • Excel基礎(セル操作、簡単な関数SUM・AVERAGE)
  • ビジネスメールの書き方

この段階では、「パソコンに慣れる」「基本操作を身につける」ことが目標です。タイピングは1分間に20文字打てれば合格ライン。焦らず、正確性を重視して練習します。

応用段階(4〜8ヶ月目)

  • Excel中級(VLOOKUP、IF関数、ピボットテーブル)
  • PowerPoint基礎(スライド作成、デザイン)
  • データ入力実務訓練(名刺データ化、アンケート集計)
  • ビジネス文書作成(議事録、報告書)
  • 10キータイピング(数字入力の高速化)

この段階では、「実務で使えるスキル」を身につけます。特にExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルは、事務職で重宝されるスキルです。

実践段階(9〜12ヶ月目)

  • Excel応用(マクロ基礎、データベース機能)
  • 実際の企業データを使った演習
  • 企業実習・インターンシップ
  • ビジネスマナー総仕上げ
  • 求人票の読み方、応募書類作成

この段階では、就職を意識した実践的な訓練を行います。企業実習では実際の職場環境を体験でき、自分に合った働き方を見つけられます。

**【注意】上記は順調に進んだ場合の一例です。**個人差が大きく、障害特性や体調の波によってペースは異なります。タイピングだけで3ヶ月かかる方もいれば、1ヶ月でExcelまで進む方もいます。あなたのペースで進めることが最も重要です。


実際の1週間のスケジュール例

通所型の場合(週5日通所)

📅 週間スケジュール(通所型)

月曜日
• 9:30-10:00 朝礼・体調チェック
• 10:00-12:00 タイピング練習(1時間)+Excel基礎学習
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-15:00 Word文書作成演習
• 15:00-15:30 個別面談・進捗確認
火曜日
• 9:30-10:00 朝礼・目標設定
• 10:00-12:00 Excel関数学習(VLOOKUP、IF)
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-15:00 データ入力実務訓練(名刺データ化)
• 15:00-15:30 振り返り
水曜日
• 9:30-10:00 朝礼
• 10:00-12:00 ビジネスメール作成演習
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-14:30 PowerPoint基礎
• 14:30-15:30 グループワーク(議事録作成)
木曜日
• 9:30-10:00 朝礼
• 10:00-12:00 Excel応用(ピボットテーブル)
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-15:00 データ入力スピード訓練
• 15:00-15:30 自習・質問タイム
金曜日
• 9:30-10:00 朝礼
• 10:00-12:00 ビジネスマナー講座
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-14:30 週間課題の仕上げ
• 14:30-15:30 週次振り返り・来週の目標設定

在宅型の場合(週3日通所・2日在宅)

🏠 週間スケジュール(在宅併用型)

月曜日(通所)
• 9:30-15:30 通所日と同様のスケジュール
火曜日(在宅)
• 9:30 体調チェックフォーム送信
• 10:00-12:00 自宅でExcel課題(オンライン教材使用)
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-15:00 データ入力課題
• 15:00 進捗報告(チャットまたはメール)
水曜日(通所)
• 9:30-15:30 通所日と同様のスケジュール
• 前日の在宅課題レビュー・フィードバック
木曜日(在宅)
• 9:30 体調チェックフォーム送信
• 10:00-11:00 Zoomで個別面談
• 11:00-12:00 タイピング練習
• 12:00-13:00 昼休憩
• 13:00-15:00 Word文書作成課題
• 15:00 進捗報告
金曜日(通所)
• 9:30-15:30 通所日と同様のスケジュール
• 週次振り返り・来週の目標設定

**【注意】在宅訓練の可否や出席扱いの条件は、事業所や自治体によって異なります。**詳しくは後述の「在宅訓練・他サービス併用について」の章をご覧ください。


ポートフォリオ(実績資料)の構成例

データ入力・事務職の場合、一般的な「ポートフォリオ」ではなく、「スキルチェックシート」や「実務演習記録」として整理します。

項目 内容 アピールポイント
タイピングスピード証明 e-typing、寿司打などのスコア画面キャプチャ 1分間50文字以上なら実務レベル
Excel関数スキル証明 VLOOKUP、IF、ピボットテーブルを使った課題の完成品 実務でよく使う関数を習得済みとアピール
データ入力実績 名刺データ化500件完了、正確性99%以上 処理件数と正確性を数値で示す
ビジネス文書サンプル 議事録、報告書、メール文例 ビジネス文書作成能力を証明
資格証明書 MOS(Word/Excel)、日商PC検定など 客観的なスキル証明
企業実習評価シート 実習先企業からの評価コメント 実務適性の第三者評価

**【重要】**これらの資料は就労移行支援の訓練中に自然と蓄積されていきます。面接時に「どんなことができますか?」と聞かれた際、具体的な数値やサンプルを示せるかどうかが、採用の決め手になることも多いです。


どのくらいの期間で、何ができるようになる?

  • 1〜3ヶ月:基本的なタイピング、Word文書作成、Excel基礎(SUM、AVERAGE関数)、ビジネスメールの型を理解
  • 4〜6ヶ月:Excel中級関数(VLOOKUP、IF)、ピボットテーブル、データ入力実務(名刺データ化、アンケート集計)、議事録作成
  • 7〜12ヶ月:Excel応用(マクロ基礎)、実際の企業データを使った演習、企業実習で実務経験、就職活動開始

**上記は順調に進んだ場合の一例です。**個人差が非常に大きく、体調の波や障害特性によってペースは異なります。タイピングの習得だけで6ヶ月かかる方もいれば、3ヶ月でExcel中級まで進む方もいます。「他の人と比べない」「自分のペースで着実に」が大切です。

📝 ここまでのポイント

  • 学習内容: タイピングからExcel応用まで段階的に習得
  • 学習期間: 個人差が大きいが、7〜12ヶ月で就職活動レベルに到達する方が多い
  • サポート体制: 個別学習プラン、在宅訓練対応、体調に合わせた柔軟な対応
  • 費用: 前年の世帯収入に応じて決定(多くの方が無料)

次の章では、一般のPCスクールとの違いや、実際の就職先について詳しく見ていきます。

なぜ就労移行で学ぶのか?一般スクールとの違い

項目 就労移行支援 一般PCスクール
費用 前年の世帯収入に応じて決定(多くの方が無料) 10万〜30万円
学習期間 最大2年(自分のペースで) 3ヶ月〜6ヶ月(固定)
サポート体制 障害特性への配慮、メンタルケア、個別面談 技術指導のみ
就職支援 履歴書添削、面接練習、企業実習、定着支援 なし(または有料オプション)
カリキュラム 個別調整可能、実務重視 一律カリキュラム
在宅対応 事業所により対応(増加傾向) オンライン講座あり
PC・ソフト 無料貸与が多い 持参または有料レンタル
就職後のフォロー 6ヶ月〜3年の定着支援 なし

就労移行支援の最大の強みは、「スキル習得」と「就職支援」が一体化していること。PCスキルを学ぶだけでなく、そのスキルを使って実際に就職し、職場に定着するまでのサポートが受けられます。


どんな企業に就職できる?事務職の職種と業務内容

就職先の業種・職種(傾向)

  • 一般企業の事務・総務部門(障害者雇用枠)
  • 自治体・公的機関の事務職
  • データ入力専門会社
  • コールセンターのバックオフィス業務
  • 病院・福祉施設の事務職

【注意】障害者雇用枠での事務職として就職する場合、最初から「事務職」として採用されるケースもありますが、「事務補助」「事務アシスタント」といった補助的なポジションからスタートすることが多いです。

就職後の業務内容例

  • 業務内容1:データ入力・書類整理・ファイリング・郵便物の仕分け・簡単な伝票処理など、定型的な事務作業が中心
  • 業務内容2:電話応対は「なし」または「取り次ぎのみ」という配慮がされるケースが多い
  • 業務内容3:ExcelやWordを使った簡単な資料作成、データ集計など

実際の業務は、企業の規模や部署によって大きく異なります。企業実習を通じて「自分に合った業務内容か」を確認できるのが、就労移行支援の強みです。

給与の目安

あくまで一例ですが、月給16万〜22万円程度の求人が目立つ印象です(地域や企業規模により大きく異なります)。障害者雇用枠の場合、最低賃金を下回ることはありませんが、一般雇用枠と比べると給与水準はやや低めの傾向があります。ただし、勤続年数や実績に応じて昇給する企業も増えています。


資格取得・スキル証明について

取得を目指せる資格

  • MOS(Microsoft Office Specialist):Word、Excelの実技試験、就職活動で最も評価される資格
  • 日商PC検定:ビジネス文書作成、データ活用のスキルを証明
  • CS検定(コンピュータサービス技能評価試験):ワープロ部門、表計算部門

**【重要】資格は「あると有利」ですが、「なければ就職できない」わけではありません。**実務演習の実績や企業実習での評価の方が重視されるケースも多いです。事業所によっては資格受験料を補助してくれるところもあるので、確認してみてください。

資格なしでも事務職への就職は可能

就労移行支援を利用して事務職に就職した方の中には、資格を持たずに就職している方も少なくありません。大切なのは「実際に何ができるか」「職場でどう働けるか」です。企業実習での実績や、面接でのコミュニケーション能力の方が重視されることも多いです。


データ入力・事務職に強い事業所の選び方:点数化チェックリスト

事業所見学の際、以下の項目をチェックしてください。合計点が15点以上なら、データ入力・事務スキル習得に比較的適した事業所と考えられます。ひとつの目安として参考にしてみてください。

📊 事業所評価チェックリスト(20点満点)

現在の合計点
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チェックして評価しましょう
【カリキュラムの充実度】(最大6点)
【就職実績】(最大5点)
【サポート体制】(最大5点)
【設備・環境】(最大4点)
判定基準:
– 18-20点: 非常に優れた事業所
– 15-17点: 良好な事業所
– 12-14点: 標準的な事業所
– 11点以下: 他の事業所も検討を推奨

利用にかかる費用と条件

利用料金

利用料は前年度の世帯収入(本人と配偶者の合計収入)により決定されます。

  • 住民税非課税世帯:0円
  • 世帯収入が約300万円以下の方:月額上限9,300円
  • 世帯収入が約300万円以上の方:月額上限37,200円

世帯収入別シミュレーション例:

  • 本人のみ(障害年金受給):0円
  • 本人のみ(年収200万円):0円
  • 夫婦世帯(世帯年収250万円):月額9,300円
  • 夫婦世帯(世帯年収600万円):月額37,200円

【注意】

  • 親の収入は含まれません。18歳以上の方は、本人と配偶者の収入のみで判定されます。
  • 上記の利用者負担上限額は2025年時点の国の基準に基づく目安です。制度改正等により変更となる場合がありますので、最新情報はお住まいの自治体でご確認ください。

利用条件

  • 障害者手帳をお持ちの方、または
  • 医師の診断書・意見書がある方(手帳がなくても利用可能)
  • 18歳以上65歳未満の方(原則)
  • 一般企業への就職を希望される方

その他の費用

  • PC貸与:多くの事業所で無料貸与
  • 教材費:利用料に含まれる(別途徴収する事業所もあるため要確認)
  • 交通費:自己負担が基本だが、補助制度のある事業所も存在
  • 資格受験料:自己負担が基本だが、補助制度のある事業所も存在

利用開始までの流れ

📋 利用開始までの5ステップ(全体で1〜2ヶ月)

1
情報収集(1週間)
  • インターネットや自治体の障害福祉課で事業所を検索
  • WAM NET(https://www.wam.go.jp/)で近隣の事業所を探す
  • 気になる事業所を3〜5箇所リストアップ
2
問い合わせ・見学予約(1週間)
  • 電話またはメールで見学を申し込む
  • 「データ入力・事務スキルを学びたい」と明確に伝える
  • 複数の事業所を見学する(比較検討が重要)
3
事業所見学・体験利用(2〜4週間)
  • 実際の訓練の様子を見学
  • 体験利用で雰囲気を確認(1日〜1週間程度)
  • スタッフや他の利用者との相性をチェック
4
利用申請(2〜4週間)
  • 自治体の障害福祉課で「障害福祉サービス受給者証」を申請
  • 医師の診断書または意見書が必要(手帳がない場合)
  • 相談支援事業所でサービス等利用計画を作成
5
利用開始
  • 受給者証が発行されたら利用開始
  • 最初の1〜2週間は慣らし期間(週2〜3日からスタートなど)
💡 ポイント: 焦らず、複数の事業所を比較検討することが大切です。見学時には「見学質問リスト12選」を参考に、納得いくまで質問しましょう。

在宅訓練・他サービス併用について

在宅訓練

在宅訓練に対応している事業所が増加中(特にコロナ禍以降)です。完全在宅型、週1〜2日通所+在宅併用型など選択肢が広がっており、在宅訓練でも出席扱いになるケースが多く、利用料が変わらないことも一般的です。

ただし、在宅訓練の可否や出席扱いの条件は事業所や自治体によって異なるため、必ず事前に確認してください。

在宅訓練での出席扱いの条件(一般的な例):

  • 朝の体調チェックフォーム送信(9:30までなど)
  • 1日4時間以上の学習
  • 夕方の進捗報告(15:00までなど)
  • 週1回のZoom面談参加

在宅訓練は、通院が多い方、体調の波が大きい方、遠方にお住まいの方に特におすすめです。

他のサービスとの併用

  • 自立訓練(生活訓練)との併用:生活リズムを整えてから就労移行へ移行するパターンが多い
  • 就労継続支援B型との併用:原則として併用不可(どちらかを選択)。ただし、一時的な移行期の利用方法など、個別事情によって運用が異なる場合もあります
  • 障害者手帳の等級による制限:基本的になし(手帳がなくても利用可能)

詳しくは自治体の障害福祉課または相談支援事業所にご確認ください。


よくある失敗と注意点

失敗例と回避策

就労移行支援を利用した先輩たちの失敗例から学び、同じ失敗を避けましょう。それぞれの失敗には明確な回避策があります。

⚠️ 失敗例1:「事務職」のイメージと実際の業務内容のギャップ
✓ 回避策:

企業実習で実際の業務を体験する。「電話応対なし」「データ入力のみ」など、自分の希望を明確に伝える

⚠️ 失敗例2:タイピングが苦手なまま就職してしまった
✓ 回避策:

焦らず、タイピング練習に十分な時間をかける。1分間40文字以上が目安

⚠️ 失敗例3:Excelの基礎しか学ばず、就職後に苦労した
✓ 回避策:

VLOOKUP、ピボットテーブルまで習得してから就職活動を開始する

⚠️ 失敗例4:在宅訓練のみで通所経験がなく、就職後に出勤が辛くなった
✓ 回避策:

就職前に週3日以上は通所し、生活リズムを整えておく


体調に波がある日のタスク設計テンプレート【必須】⭐️

データ入力・事務スキル訓練中の体調別タスク例を参考に、無理なく続けられる学習計画を立てましょう。

体調レベル 作業時間 推奨タスク 避けるべきタスク
絶好調(100%) 4〜6時間 Excel新しい関数の習得、実務演習、資格試験対策 特になし
普通(70-90%) 3〜4時間 データ入力練習、Word文書作成、復習中心 新しい概念の学習
やや不調(50-70%) 1〜2時間 タイピング練習(15分×4セット)、簡単な復習 長時間の集中作業、新規学習
不調(30-50%) 30分〜1時間 動画教材視聴、軽いタイピング練習(10分程度) 実務演習、新規学習
かなり不調(30%未満) 完全休養 スタッフに連絡して休む、無理をしない すべての学習

**【重要】無理は禁物です。**体調が悪い日は休む、または軽いタスクのみにする。これが長く続けるコツです。スタッフに体調を正直に伝えることで、適切なサポートを受けられます。


事業所見学での質問リスト12選【必須】⭐️

見学時に以下の質問をして、自分に合った事業所かを見極めましょう。

📚 カリキュラムについて
Excelはどのレベルまで学べますか?(VLOOKUP、ピボットテーブル、マクロなど)
タイピング練習の時間は毎日ありますか?目標スピードの設定はありますか?
実際の企業データを使った実務訓練はありますか?
🤝 サポート体制について
個別学習プランは作成してもらえますか?どのくらいの頻度で見直しますか?
在宅訓練には対応していますか?週何日まで在宅可能ですか?
体調が悪い日の対応はどうなりますか?(欠席連絡の方法、振替など)
💼 就職実績について
事務職・データ入力職への就職実績は年間何名ですか?
主な就職先企業を教えてください(業種や規模)
定着率(6ヶ月以上継続)はどのくらいですか?
🖥️ 設備・その他について
PCは一人1台使えますか?自宅に持ち帰って練習できますか?
資格取得(MOS、日商PC検定など)の支援はありますか?受験料の補助はありますか?
利用開始から就職までの平均期間はどのくらいですか?
💡 チェックポイント:

これらの質問に対して、具体的な数字や事例を示してくれる事業所は信頼できます。逆に、曖昧な回答しか得られない場合は注意が必要です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 40代・50代でも事務職への就職を目指すことは可能ですか? A. 就職を目指すことは十分可能です。事務職・データ入力職は年齢よりもスキルと正確性が重視されます。ただし、一般的には30代までの方が求人の選択肢は多い傾向があります。企業実習で実力を示すことが重要です。

Q2. タイピングが遅いのですが、どのくらいで実務レベルになりますか? A. 個人差が大きいですが、毎日30分練習すれば3〜6ヶ月で実務レベル(1分間40〜50文字)に到達する方が多いです。焦らず、正確性を重視して練習しましょう。

Q3. 電話応対が苦手なのですが、事務職は難しいですか? A. 障害者雇用枠の事務職では「電話応対なし」という配慮がされるケースも多いです。企業実習や面接時に、自分の希望を明確に伝えることが重要です。

Q4. 資格がないと事務職への就職は難しいですか? A. 資格がなくても就職は可能です。実務演習の実績や企業実習での評価の方が重視されることもあります。

Q5. 他の利用者とコミュニケーションを取らなければいけませんか? A. 事業所によって雰囲気は異なりますが、基本的には個別学習中心です。グループワークがある事業所もありますが、苦手な場合は事前に相談できます。

Q6. 就職後、すぐに辞めたくなったらどうすればいいですか? A. 定着支援スタッフが継続的にサポートします。職場訪問や面談を通じて、企業との調整も行います。一人で抱え込まず、すぐに相談してください。


まとめ:データ入力・事務スキルで新しいキャリアを

この記事のポイント

  • データ入力・事務スキルは比較的多くの事業所で学べるが、カリキュラムの充実度には大きな差がある
  • 未経験・PC初心者でも、段階的に学べる環境が整っている
  • 障害者雇用枠での事務職求人は比較的多く、就職実績も豊富
  • 在宅訓練に対応している事業所も増えており、体調に合わせた学習が可能
  • ただし、事業所によってカリキュラムや就職支援の質に差があるため、事業所選びが最重要

あなたへのメッセージ

データ入力や事務の仕事は、「正確性」「コツコツ続ける力」が評価される分野です。派手さはありませんが、企業にとって欠かせない重要な仕事です。

「パソコンが苦手」「自分には無理」と思っているかもしれません。でも、就労移行支援を利用した多くの方が、あなたと同じ不安を抱えながらスタートし、今では立派に働いています。

大切なのは、「完璧にできること」ではありません。「自分のペースで、着実に成長すること」です。一歩踏み出す勇気があれば、サポートしてくれるスタッフがいます。


今すぐできる行動

Step 1:情報収集(今週中)

  • データ入力・事務スキルのカリキュラムがある事業所をリストアップ(多くの事業所で対応していますが、充実度に差があります)
  • WAM NETで近隣の事業所を検索
  • 気になる事業所のホームページをチェック

Step 2:見学・体験(来月中)

  • 最低3箇所は見学して比較する
  • この記事の「見学質問リスト12選」を持参
  • 実際の訓練の様子、スタッフの対応、他の利用者の雰囲気を確認

Step 3:利用開始(3ヶ月以内)

  • 自分に合った事業所を選ぶ
  • 自治体で受給者証を申請
  • 無理のないペースで訓練スタート

参考文献・データ出典

本記事では以下の公的機関のデータを参考にしています。

使用したデータソース

**【注意】**本記事に記載の数値や傾向は、公的データおよび複数の事業所への取材に基づく一般的な傾向です。個別の事業所や地域によって状況は異なる場合があります。


就労移行支援事業所を探すには

WAM NET(ワムネット) 独立行政法人福祉医療機構が運営する、全国の福祉サービス事業所を検索できるサイトです。

ハローワーク インターネットサービス 障害者向けの求人情報も検索できます。就職後のイメージを掴むのに役立ちます。


はじめの一歩を踏み出すために

まずは近くの事業所に電話してみてください。「データ入力や事務の仕事に興味があるのですが、見学できますか?」その一言で、新しい未来への扉が開きます。

あなたのペースで、あなたらしく。データ入力・事務スキルで、新しいキャリアを築いていきましょう。

この記事は2025年11月の情報に基づいて作成されています。
制度や事業所の詳細は変更される場合がありますので、最新情報は各事業所に直接お問い合わせください。

監修者 市原早映の写真

この記事の監修者

市原 早映(いちはら さえ)

サービス管理責任者介護職員初任者研修修了

2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

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