就労移行支援の手続き|相談から通所開始まで6ステップと期間の目安

この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。

「就労移行支援を使いたいけれど、何から始めればいいのか分からない」——手続きの入口でつまずいてしまう方はとても多いです。役所・相談支援事業所・事業所と登場人物が多く、順番も見えにくいからです。

手続きは全体で6つのステップ、期間の目安は1〜2か月。そして最初の一手は「役所へ行く」ではなく、通いたい事業所を見学することです。

就労移行支援には、介護系のサービスにある障害支援区分の認定がありません。手続きが思っているより軽いのは、この違いによるものです。

  • 相談から通所開始までの6ステップと、それぞれの期間の目安がわかる
  • 就労系サービスだけにある3つの特徴(区分認定なし・暫定支給決定・就労選択支援)がわかる
  • 用意しておく書類と、つまずきやすい場所がわかる
目次

相談から通所開始までの6ステップ

STEP1 相談する(1〜2週間)

窓口は3つあります。市区町村の障害福祉課、地域の相談支援事業所、そして通院中であれば主治医やソーシャルワーカーです。どこから入っても構いません。相談支援事業所は、このあとの計画づくりで必ず関わるため、早めにつながっておくと後が楽になります。

STEP2 事業所を見学・体験する(2〜3週間)

ここを申請より先にやるのが肝心です。申請には「どの事業所に通うか」の情報が必要になるためで、順番を逆にすると手続きが止まります。見学は無料で、複数まわって比べるのが基本です。

STEP3 市区町村に申請する(1日)

障害福祉課の窓口で「就労移行支援を利用したい」と伝え、支給申請書を提出します。マイナンバーがわかるもの、本人確認書類、障害や疾病を確認できる書類(手帳または診断書等)を持参します。

STEP4 サービス等利用計画案を出す(1〜3週間)

相談支援専門員が本人と面談し、目標と支援内容をまとめた計画案を作って市区町村に提出します。本人や家族が作る「セルフプラン」を認めている自治体もあります。

STEP5 支給決定・受給者証の交付(2週間〜1か月)

市区町村が支給決定を行い、障害福祉サービス受給者証が郵送で届きます。利用できるサービスの種類、期間、月あたりの日数、自己負担の上限額が書かれています。

STEP6 事業所と契約して通所開始(数日)

受給者証を事業所に提示して利用契約を結びます。個別支援計画を作成したうえで、通所が始まります。

期間の目安

相談から通所開始までおおむね1〜2か月。自治体の混み具合と、見学にかける時間で前後します。急ぐ場合は、STEP1とSTEP2を並行して進めるのが最短です。

就労系サービスだけにある3つの特徴

1.障害支援区分の認定を受けなくてよい

ホームヘルプなどの介護系サービスでは、認定調査を受けて障害支援区分を判定してもらう必要があります。ですが厚生労働省の案内には、訓練系・就労系サービス等は障害支援区分の認定を受ける必要がないと明記されています。

就労移行支援・A型・B型はいずれも就労系にあたるため、この調査が丸ごと省けます。手続きが1〜2か月で済むのは、ここが大きいのです。

2.「暫定支給決定」が入ることがある

就労移行支援とA型では、本利用の前に短い期間の支給決定を出し、その期間に事業所がアセスメントを行う暫定支給決定という仕組みがあります。期間はアセスメントに必要な時間を勘案して市町村が定め、2か月以内が目安です。

「この事業所で続けられそうか」を双方が確かめるための期間なので、身構える必要はありません。すでに同等のアセスメントを受けていると市町村が判断した場合には、暫定支給決定が省かれることもあります。

3.2025年10月から「就労選択支援」が始まった

短期間の作業体験を通じて、働くことについての希望・適性・必要な配慮を本人と一緒に整理するサービスが、2025年10月1日に始まりました。支給決定の期間は原則1か月(作業体験に時間をかける場合は2か月)です。

就労移行支援をこれから初めて使う方には、現時点で必須ではありません。必須になるのは、標準利用期間(2年)を超えて利用したい方で、時期は2027年4月以降の予定です。ただし通知では、利用中でも意向や能力に変化があれば就労選択支援の情報を定期的に提供するよう事業所に求めています。

用意しておく書類

書類備考
支給申請書窓口でもらいます。自治体のサイトからダウンロードできる場合もあります
障害者手帳持っている場合。なくても申請できます
医師の診断書・意見書手帳がない場合はこちら。対象疾病にかかっていることがわかる書類です
自立支援医療受給者証持っていれば診断の確認に使える場合があります
マイナンバーがわかるものマイナンバーカード、通知カードなど
本人確認書類運転免許証、健康保険証など
世帯の所得がわかる書類自己負担の上限額を決めるために使います。自治体が課税情報を確認できる場合は不要です

自治体によって必要書類は異なります。窓口へ行く前に電話で確認しておくと二度手間になりません。

受給者証そのものの見方や有効期間については、受給者証とは?手帳なしでも0円|取り方・期間の完全ガイド受給者証の取り方|申請から交付まで相談支援専門員と進める完全ガイドでくわしく扱っています。

つまずきやすい3つの場所

見学より先に申請してしまう

申請では通う事業所の情報が求められます。先に窓口へ行くと「事業所を決めてから来てください」と戻されることがあります。見学を先にしましょう。

計画案の作成で止まる

相談支援事業所が混み合っていて、面談まで数週間待つ地域があります。STEP1の段階で相談支援事業所を押さえておくと、この待ち時間を先に消化できます。

通所日数が想定より少なく決まる

受給者証には月あたりの利用日数の上限が書かれます。週5日通うつもりだったのに日数が足りない、という行き違いを防ぐため、希望日数は申請時に明確に伝えてください。

よくある質問(FAQ)

Q 障害者手帳がなくても手続きできますか?
A できます。手帳は利用条件ではありません。医師の診断書など、障害や対象疾病があることを確認できる書類で申請します。
Q 申請は家族が代わりに行けますか?
A 相談や見学は家族だけでも可能です。申請と契約は本人(または成年後見人等)が行うのが原則ですが、代理での提出を認めている自治体もあります。窓口に確認してください。
Q 通う事業所を途中で変えられますか?
A 変えられます。受給者証の変更手続きが必要になるため、相談支援専門員と市区町村に相談してください。合わない事業所に通い続けるより、早めに動いたほうが結果につながります。
Q 手続きの途中でお金はかかりますか?
A 相談・見学・申請そのものは無料です。医師の診断書を新たに書いてもらう場合は文書料がかかります。利用開始後の自己負担は世帯の所得で決まり、多くの方が0円です。

最初の一手は、見学の予約です

見学は無料で、利用の義務もありません。
通う場所が決まると、そのあとの手続きは一本道になります。

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この記事の監修者

市原 早映(いちはら さえ)

サービス管理責任者介護職員初任者研修修了

2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

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