この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
交通費・昼食・在宅訓練の補助はある?一般的な目安と注意点
障害福祉サービス(就労移行支援)の利用料は「負担上限月額」で抑えられますが、交通費や昼食などの“実費”は別扱いです。本記事では、自治体や事業所の補助の一般的なパターン、在宅訓練の取扱い、見学時に確認したいチェックポイントを、一次情報を前提にわかりやすく整理します。最終判断は必ずお住まいの自治体・事業所でご確認ください。
まずは要点(ここだけ読めばOK)
- 交通費や昼食などの“実費”は、利用料の上限管理(負担上限月額)の対象外。
- 通所交通費は「自治体の助成」「事業所の独自補助」のどちらか/両方がある場合あり(内容は自治体・事業所で異なる)。
- 自治体助成は、対象・上限額・対象交通機関・申請方法が細かく定められるのが一般的。
- 昼食は原則“実費”。一部の事業所で無料・割引・所得連動の例あり(要確認)。
- 在宅訓練は制度上可能。連絡頻度・評価・通所/訪問の組合せなど運用ルールは事業所の規程・自治体の指導に依存。
- 見学時は「交通費の助成可否と申請窓口」「昼食の有無・金額」「在宅訓練の体制と負担範囲」を具体的に確認する
実費(交通費・昼食など)の基本
就労移行支援の自己負担は「原則1割+負担上限月額」で抑えられますが、交通費・食事代・教材費などの“実費”は別枠です。実費の有無・金額は、自治体の制度や事業所の方針で変わります。
関連:料金の仕組み(自己負担0円の条件・上限額)
交通費の補助(自治体・事業所)
通所交通費の補助は、自治体の制度と事業所の独自補助が中心です。内容や対象は自治体・事業所で異なるため、申請先や必要書類を必ず確認しましょう。
1) 自治体助成の考え方(一般論)
- 対象:就労移行支援等の通所に要する交通費を対象とする制度がある自治体も。
- 助成内容:一部負担や上限額の設定、対象交通機関の限定など、要件は自治体ごとに異なる。
- 申請:領収書や通所証明等の提出、審査、支給時期(精算/前渡し)が定められていることが多い。
2) 事業所の独自補助
- 月上限つきの交通費補助、回数券・定期の一部支援、助成申請のサポート等の例あり。
- 内容・条件は事業所ごとに異なるため、見学時に規程を確認。
3) 申請の流れ(目安)
- 自治体助成:市区町村の障害福祉担当が窓口。申請様式・必要書類(利用実績、領収書、通所証明 等)を確認。
- 事業所補助:事業所規程に沿って申請。月上限・対象路線・精算方式(立替/前渡し)を事前に確認。
制度・提供主体 | 対象の一例 | 助成・補助の目安 | 申請先・備考 |
---|---|---|---|
通所交通費助成(自治体例) | 就労移行等の通所に要する交通費 | 一部助成/月上限の設定 等 | 市区町村の障害福祉担当。要件・対象交通機関は自治体で異なる |
公共交通機関の助成(自治体例) | バス・地下鉄・鉄道 等の利用 | 割引・上限額の設定 等 | 自治体の要綱・申請様式を確認。領収書・証明類が必要な場合あり |
都道府県の交通関連制度(例) | 手帳等の要件に該当する場合 | 対象路線の割引/無料 等 | 対象者・対象路線の範囲に注意。JR・私鉄・地下鉄の取扱いは別途確認 |
事業所の独自補助 | 各事業所の規程 | 例:月上限ありの交通費補助 等 | 見学時に条件・上限・精算方式を確認 |
昼食の補助(原則は実費、例外的に補助あり)
昼食費は原則実費ですが、事業所によっては例外もあります。提供の有無や金額、減額条件を事前に確認しましょう。
- 原則:昼食は実費(事業所が給食を提供する場合は1食あたりの定価を設定)。
- 例:一部事業所で無料提供や所得連動の減額、キャンペーン等の割引あり。
- 見学時の確認ポイント:提供の有無/金額/所得による減額/持参可否。
在宅訓練の補助とルール(概要)
在宅訓練は制度上可能です。運用ルールや負担範囲は事業所の規程・自治体の指導に基づくため、詳細を確認しましょう。
- 在宅(オンライン含む)は制度上可能。具体的な運用(連絡頻度、評価、通所/訪問の組合せ、在宅日に実施する訓練内容)は事業所の運営規程・自治体の指導に基づく。
- 通信費・機材費:全国一律の公的補助は一般的ではない。機材貸与や通信費補助は“事業所ごとの取扱い”。
- 在宅を選ぶ際は、通所日とのバランス、評価の方法、緊急時対応、貸与機材の範囲まで確認しておくと安心。
- 関連:受給者証とは(手続きの基本)
- 関連:受給者証の取り方(申請の流れ)
よくある質問(FAQ)
- 交通費の助成は「就労移行支援」でも対象になりますか?
-
自治体の要綱で“対象施設”に就労移行支援が含まれていれば対象です。内容(助成率・上限・対象交通機関)は自治体ごとに異なります。
- 自治体助成と事業所の独自補助は併用できますか?
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併用可能なケースもありますが、自治体要綱で他制度との重複や支給調整の規定がある場合があります。実際の可否は自治体・事業所に確認してください。
- 申請は個人で行いますか?事業所経由ですか?
-
自治体により異なります。個人申請のほか、事業所がとりまとめる運用の自治体もあります。実際の流れは自治体の案内と事業所の説明で確認しましょう。
- 在宅訓練の日は交通費助成の対象ですか?
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移動がないため原則対象外です。在宅日は、通信費等の負担や貸与機材の有無を事前に確認しておくと安心です。
- 昼食は必ず注文しなければなりませんか?
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事業所によります。提供がない、または持参可のところもあります。提供がある場合は金額や減額条件を確認しましょう。
見学時に確認したいチェックリスト
出典(一次情報)と更新履歴
- 厚生労働省:障害者の利用者負担(上限額の考え方)
- 厚生労働省:就労系サービスの在宅提供に関する通知・Q&A
- 各自治体:通所交通費助成の要綱・申請案内(居住地の最新ページを確認) → 例:千葉市 / 札幌市
- 事業所:提供規程(交通費・昼食・機材/通信費の取扱い) →(各事業所サイト)

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。