この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「手帳は持っていない/取得は迷っているけれど、就労移行支援は利用できるの?」結論から言うと自治体の判断で、診断書等を根拠に手帳なしでも利用できる場合があります。ここでは、必要書類、申請手順、よくある不承認理由と回避策までを解りやすくまとめました。
目次
まずは要点(概要)
- 手帳なしでも医師の診断書や自立支援医療の受給者証等で利用可となる場合がある(自治体判断)
- 申請は相談支援事業所や市区町村の障害福祉窓口が入口。事前相談が通過率を上げる鍵
- 不承認理由の多くは書類の不足と就労上の困難・必要な支援の記載不足
こんな人に向いています
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手帳取得に心理的抵抗がある/職場に開示したくない
すぐ解説
手帳がなくても利用可となる余地があるため、手帳開示リスクを避けつつ支援にアクセスできます。自治体や個別状況で判断が変わるため、まずは事前相談が重要です。 -
通院中で診断名はあるが手帳は未取得
すぐ解説
医師の**診断書**や通院状況の記録が揃えば、手帳なしでの申請が通るケースがあります。診断書の記載内容が合否のポイントです。 -
福祉制度は初めてで手続きに不安がある
すぐ解説
相談支援事業所が手続きの伴走をしてくれます。利用目的・困りごと・必要な配慮を整理して臨むとスムーズです。
手帳なし利用の判断ポイント
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客観的資料があるか(診断書・通院記録・自立支援医療の受給者証 等)
すぐ解説
手帳に代わる医学的根拠が必要です。**診断名・症状の程度・就労への影響・必要な支援**が明確だと通過率が上がります。 -
就労上の困難と支援ニーズが具体的に説明できるか
すぐ解説
「遅刻・欠勤」「指示理解」「コミュニケーション」など、業務に影響する課題と、必要な配慮・訓練内容を具体化します。 -
計画作成の体制(相談支援事業所の関与)
すぐ解説
**サービス等利用計画(案)**の作成支援があると、目的・期間・支援内容が整理され審査が通りやすくなります。
必要書類(手帳なし申請の基本セット)
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医師の診断書(就労配慮・支援の必要性の記載)
すぐ解説
**診断名/症状の状況/就労への影響/必要な配慮・支援**の記載が鍵。発行まで1〜4週間・費用は3,000〜10,000円目安(医療機関による)。 -
自立支援医療(精神通院)受給者証(任意)
すぐ解説
通院の継続性の根拠になります。**手帳の代替ではない**ものの、判断材料として評価される場合があります。 -
サービス等利用計画(案)
すぐ解説
相談支援専門員が作成を支援。目標・実施期間・支援内容・想定頻度を整理します。 -
本人確認・収入関係書類(保険証、住民票、課税証明 等)
すぐ解説
利用者負担の区分判定や、世帯の範囲確認に用いられます。
申請の流れ(手帳なしケース)
- 相談支援事業所・市区町村福祉窓口に事前相談
- 診断書の取得/必要書類の収集
- **サービス等利用計画(案)**の作成支援
- 市区町村へ申請 → 審査 → 受給者証の交付(標準2〜6週間目安)
- 事業所と利用契約/利用開始
よくある不承認理由と回避策
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医学的根拠が不十分(診断名・症状の程度が曖昧)
すぐ解説
診断書に**診断名/症状の頻度・強度/就労への影響**を明確に記載してもらいましょう。 -
支援ニーズの具体性不足
すぐ解説
例:「朝礼〜業務開始の切替」「指示の再確認」「面接練習と応募同伴」など、必要支援を行動レベルで具体化。 -
提出書類の不足・記載漏れ
すぐ解説
自治体の様式を必ず確認。**写しの提出/押印/日付**などの形式要件にも注意。
- 手帳なしでも就労移行支援は利用できる?
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自治体の判断によりますが、医師の診断書や自立支援医療の受給者証などで利用可能な場合があります。
- 申請に必要な書類は?
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医師の診断書、サービス等利用計画(案)、本人確認書類、課税証明書などが必要です。
- 審査にかかる期間は?
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通常は2〜6週間ほどです。診断書作成や書類補正によって延びる場合があります。
- 不承認になりやすい理由は?
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診断書の記載不足、支援ニーズの不明確さ、必要書類の不備などが挙げられます。
出典・一次情報(公式)
- 厚生労働省:障害者福祉(障害福祉サービス/就労系)
- e-Gov法令検索:障害者総合支援法
- 厚生労働省:就労移行支援の概要・Q&A
- ハローワーク:手続・制度案内
- 障害福祉サービス等報酬改定(告示・通知)

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。