この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
就労移行支援などを利用するために必要な「受給者証」。手続きが多くて、一人で進めるのは不安ですよね。
でも、ご安心ください。この手続きには、あなたの伴走者となって無料でサポートしてくれる「相談支援専門員」という専門家がいます。
この記事では、あなたが最初にやるべきたった一つのことから、専門家と一緒に安心して全ステップを完了させるまでの道のりを、物語のように分かりやすく解説します。読み終わる頃には、手続きへの不安が自信に変わっているはずです。自治体により運用は異なるため、最終確認はお住まいの窓口で行ってください。
すぐに分かる要点
申請から交付までの期間は、目安として「約2週間〜2か月」です。
準備の鍵は「医師の意見書」と「サービス等利用計画(案)」です。
見学や体験は、受給者証がなくても可能です。体験内容を申請書に反映すると手続きがスムーズになります。
STEP 0:【最重要】まず、あなたの伴走者を見つけよう
本格的な手続きを始める前に、あなたの「相談支援専門員」を探すことからスタートしましょう。これが、手続きを成功させるための最も重要で、最初の一歩です。
- 相談支援専門員とは?
詳しく解説
あなたの状況や希望を聞き取り、最適なサービスの利用計画(案)を作成してくれる専門家です。市区町村への申請手続きの多くをサポートしてくれます。費用は無料で利用できます。 - どこで探す?
詳しく解説
お住まいの市区町村の「障害福祉課」の窓口で紹介してもらうのが最も確実です。「〇〇市 指定特定相談支援事業所」と検索すれば、地域の一覧も見つかります。 - 最初の連絡で何を話す?
詳しく解説
現在の体調、通院状況、通所できる日数、就労の目標を簡単に伝えましょう。「受給者証の申請を検討している」と伝えれば、適切な案内をしてくれます。
専門家と進める!申請から交付までの具体的な6ステップ
あなたの伴走者が見つかったら、ここからが本番です。専門家と二人三脚で進めていきましょう。
専門家と進める6ステップ
ステップ | やること | あなたの役割 | 専門家の役割 |
---|---|---|---|
STEP 1 | 初回面談と計画の相談 | これまでの経緯や将来の希望を話す | あなたに合ったサービスを提案し、計画(案)の骨子を作成 |
STEP 2 | 事業所の見学・体験 | 気になる事業所を見学・体験し、感想を専門家に伝える | あなたの感想を基に、計画(案)をより具体化 |
STEP 3 | 必要書類の準備 | 医師の意見書を依頼、本人確認書類などを準備 | 必要な書類リストを提示し、準備をサポート |
STEP 4 | 計画(案)の完成と申請 | 完成した計画(案)の内容を確認 | 計画(案)を完成させ、申請書とともに役所に提出 |
STEP 5 | 認定調査・審査 | 市区町村の担当者からのヒアリングに対応 | 必要に応じて調査に同席し、状況を補足説明 |
STEP 6 | 交付・利用開始 | 自宅に届いた受給者証を事業所に提示し、契約・利用開始! | 利用開始後の定期的なモニタリングでサポート継続 |
準備する書類(STEP 3で専門家からもらうリスト)
専門家から「これらの書類を準備してください」と渡されるリストがこちらです。一緒に準備を進めるので、安心してください。
- 障害福祉サービス 訓練等給付費支給申請書
詳しく解説
誰が用意:本人
様式は自治体指定。就労移行支援の利用希望を明記します。専門家が記入方法をサポートしてくれます。 - 医師の意見書(または診断書)
詳しく解説
誰が用意:主治医
就労に関する配慮や課題が分かると審査がスムーズです。早めに受診予約を取りましょう。様式を事前に医療機関に共有するとスムーズです。 - サービス等利用計画(案)
詳しく解説
誰が用意:相談支援専門員
これは専門家が作成してくれる最も重要な書類です。あなたは面談で希望や状況を伝えるだけでOK。 - 本人確認書類・個人番号・所得関係書類
詳しく解説
誰が用意:本人
運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど。マイナンバーがあれば、役所側で所得確認してくれることが多いです。 - 障害者手帳(該当者)
詳しく解説
誰が用意:本人
手帳がない場合でも申請可能な自治体もあります。専門家が確認してくれます。
どのくらいかかる?早く進めるコツ
期間の目安:申請から交付まで「約2週間〜2か月」です(自治体差・書類の準備状況で前後します)。
早く進めるポイント:医師の意見書の予約を早めに取り、計画相談の予約と並行して進めましょう。専門家がスケジュール管理もサポートしてくれます。
暫定支給:自治体によっては、交付までの暫定的な支給期間が設けられる場合があります。専門家が窓口で確認してくれます。
よくある疑問とトラブルシューティング
- 受給者証がなくても見学はできますか?
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できます。多くの事業所で、受給者証の交付前でも見学・体験に対応しています。体験内容は申請書に反映しましょう。 - 事業所は申請の前と後、どちらで決めますか?
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自治体の運用によりますが、事業所を決めてから申請するケースが多いです。まずは見学で適合度をご確認ください。 - 自己負担はいくらですか?
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原則1割負担ですが、「負担上限月額」の適用により、多くの世帯で実質0円〜低額になります。具体的な金額は専門家が確認してくれます。 - 在宅(リモート)訓練は可能ですか?
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可能な場合があります。事業所と自治体の方針によりますので、在宅の可否・回数・使用ツールを見学時にご確認ください。 - 医師の書類の取得に時間がかかる場合は?
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様式を事前に医療機関へ共有し、受診日を前倒しします。専門家が必要な様式を用意してくれるので、早めに相談しましょう。
サービス管理責任者(サビ管)からのアドバイス
医師の意見書には、通勤や面談時の配慮、長時間作業の可否など、就労に関する具体的な配慮事項を書いていただくと、審査がスムーズに進みやすいです。
提出前チェックリスト
提出前チェックリスト
1)専門家との準備
2)必要書類
3)窓口で確認すること
4)見学・体験で確認すること
まとめ:安心して新しい一歩を踏み出すために
受給者証の取得は、決して一人で戦う必要のない手続きです。
- 何よりも先に「相談支援専門員」という伴走者を見つける
- 手続きの大部分は、その専門家がリードしてくれる
- あなたは見学や面談で、自分の希望を正直に伝えることに集中する
この3つのポイントを心に留めておけば、不安なく、あなたに最適なサービス利用への扉を開くことができるはずです。この記事が、そのための確かな一歩となれば幸いです。
出典と更新履歴
・本記事は、自治体の公開資料および相談支援の一般的な運用をもとに作成しています。実際の運用は自治体により異なります。 ・最終更新日:2025年8月11日(公開時に更新)

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。