この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
「就労移行支援に通いたいけど、毎日の交通費や昼食代が結構かかりそう…」 「在宅で訓練を受ける場合、パソコンやネット代は自己負担?」
就労移行支援のサービス利用料は無料や低額な場合がほとんどですが、こうした**「実費」**がどれくらいかかるのかは、とても気になりますよね。
この記事では、多くの人が不安に感じる**「交通費」「昼食代」「在宅訓練の費用」**という3大実費について、補助制度の有無、一般的な目安、そして見学時に必ず確認すべきポイントを徹底解説します。
結論:補助の有無は「事業所」と「自治体」次第
まず最も重要なポイントとして、これらの実費に対する補助は、国の制度(負担上限月額)とは別に、**「事業所独自の方針」と「お住まいの自治体(市区町村)の制度」**の2つによって決まります。
そのため、複数の事業所を見学し、補助制度について詳しく質問・比較することが非常に重要になります。
①交通費の補助について
一般的な目安
多くのケースで自己負担となりますが、事業所や自治体によっては半額〜全額の補助を受けられる場合があります。月々の負担額が大きく変わるため、最も重要な確認項目の一つです。
- 事業所独自の補助
詳しく解説
事業所が利用者を増やすためや通所の負担を軽減するために、独自に交通費を支給するケース。
例:上限月1万円まで支給、1日あたり〇〇円を支給など - 自治体の補助制度
詳しく解説
市区町村が、障害のある方の社会参加を促進するために、交通費の助成制度を設けている場合があります。
例:公共交通機関の割引、タクシー券の交付など - 確認すべきこと
詳しく解説
・事業所の補助の有無、支給条件、上限額
・自治体の助成制度が利用できるか(事業所スタッフが詳しい場合が多いです)
②昼食代の補助について
一般的な目安
事業所によって対応が大きく異なります。無料提供から一部補助、**実費(300円〜500円程度)**まで様々です。栄養バランスの取れた食事を安価に取れることは、体調管理の面でも大きなメリットになります。
- 無料提供
詳しく解説
事業所が福利厚生の一環として、昼食を無料で提供。利用者の負担軽減と体調管理をサポートします。 - 一部補助
詳しく解説
お弁当を安価(100円〜250円など)で提供したり、提携の食堂を割引で利用できたりするケース。 - 食事提供加算
詳しく解説
事業所が国の基準を満たしている場合、低所得世帯の方などは食費の補助を受けられることがあります。 - 確認すべきこと
詳しく解説
・昼食提供の有無と、1食あたりの自己負担額
・アレルギー対応の可否
・食事提供加算の対象になるか
③在宅訓練の費用について
一般的な目安
在宅での訓練が認められている事業所では、PCなどの機器を無料で貸し出してくれるケースが多いです。ただし、インターネットの通信費は自己負担となるのが一般的です。
- PC、タブレットの貸与
詳しく解説
訓練に必要なスペックのものを無料で貸与してくれることが多いです。WindowsやMac、必要なソフトウェアがインストール済みの場合も。 - ソフトウェアの提供
詳しく解説
学習に必要な専門ソフト(Adobe、Officeなど)は事業所のアカウントで利用できるのが一般的。個人で購入する必要がない場合が多いです。 - 通信費(Wi-Fiなど)
詳しく解説
原則として自己負担ですが、ごく稀に一部補助があるケースも。月額5,000円程度は見込んでおきましょう。 - 確認すべきこと
詳しく解説
・PCの貸与の有無と、OSやスペック
・自宅のネット環境で訓練に支障がないか
・通信費の自己負担について
実費と補助のポイントまとめ
費用項目 | 一般的な目安 | 補助の提供元 | 見学時の最重要チェックポイント |
---|---|---|---|
交通費 | 自己負担 | 事業所、自治体 | 補助の有無、支給条件、上限額 |
昼食代 | 無料〜500円/食 | 事業所、国 | 1食あたりの自己負担額、アレルギー対応 |
在宅費用 | PC貸与、通信費自己負担 | 事業所 | PCの貸与有無、通信費の扱い |
前提知識:サービス利用料の基本(上限あり)
ここまで解説した「実費」とは別に、基本となる「サービス利用料」が存在します。これは国の制度で上限が定められており、ほとんどの方が月額0円〜9,300円で利用できます。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限(月額) |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税(所得割16万円未満) | 9,300円(通所・ホームヘルプ等) |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
見学で使える!実費・補助チェックリスト
実費・補助チェックリスト
交通費について
昼食代について
在宅訓練について
まとめ:必ず複数の事業所を比較検討しよう
交通費や昼食代などの「実費」と、その「補助制度」は、事業所や自治体によって大きく異なります。月々の自己負担額が数万円単位で変わることもあるため、サービス内容だけでなく、費用の面でも必ず複数の事業所を比較することが、後悔しない事業所選びの鍵です。
この記事のチェックリストを活用し、あなたにとって最適な事業所を見つけてください。
出典と更新履歴
- 厚生労働省:障害者の利用者負担(上限額の考え方)
- 厚生労働省:就労系サービスの在宅提供に関する通知・Q&A
- 各自治体:通所交通費助成の要綱・申請案内(居住地の最新ページを確認) → 例:千葉市 / 札幌市
- 事業所:提供規程(交通費・昼食・機材/通信費の取扱い) →(各事業所サイト)

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。