この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
- 就労選択支援は、作業と面談を通して、自分に合う働き方を支援員と一緒に1か月ほどかけて整理するサービスです。いま原則として必ず受けるのは、2025年10月以降に新しく就労継続支援B型を使い始める人だけです
- 50歳以上の人、障害基礎年金1級を受けている人、働いた経験があって年齢や体力の面で雇われるのが難しくなった人は、就労選択支援を受けなくてもB型を利用できます
- 就労移行支援やA型を使う人は、いまは希望すれば就労選択支援を受けられます(必須ではありません)。2027年4月からは、A型を新しく使う人と、就労移行支援を2年を超えて使う人も、原則として受ける対象になる予定です
- サービス費の自己負担はほかの障害福祉サービスと同じく、世帯の所得に応じて月ごとの上限が決まっています。市町村民税が非課税の世帯なら0円です
市役所や相談支援専門員に「B型を使いたい」と伝えたら、「まず就労選択支援を」と言われて戸惑った方もいると思います。この記事では、厚生労働省の通知や公表している数字と、当サイトで数えた事業所の数をもとに、就労選択支援で何をするのか、自分は受ける必要があるのかを整理しました。
就労選択支援とは:働き方を決める前に、本人と一緒に「見立て」を作るサービス
就労選択支援は、2025年10月1日に始まった障害福祉サービスです。短い期間、実際に作業をしてみたり面談を重ねたりしながら、どんな働き方が合うのか、働くときにどんな配慮が必要かを、本人と支援員が一緒に整理します。
訓練をして力をつける場所というより、次にどこへ進むかを決める前に、自分の向き不向きを確かめる場所です。
法律ではどう決まっているか
就労選択支援は、障害者総合支援法の改正(令和4年法律第104号)で新しく作られたサービスです。法律では次のように定められています(一部を省いて引用)。
短期間の生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に関する適性、知識及び能力の評価並びに就労に関する意向及び就労するために必要な配慮その他の…事項の整理を行い…
(障害者総合支援法 第5条 就労選択支援の定義より)
かみくだくと、短い期間の作業を通して、向いている仕事と、働くときに必要な配慮を一緒に整理する、ということです。この評価と整理のことを、制度では「アセスメント」と呼びます。厚生労働省の通知は、ねらいを「障害者本人が就労先・働き方についてより良い選択ができるよう」支援するもの、と説明しています。
決めるのは本人。行き先を振り分ける仕組みではありません
「就労選択支援を受けたら、行き先を勝手に決められてしまうのでは」と心配になるかもしれません。この点は、国の通知に次のように書かれています。
就労選択支援事業者が本人の就労の可否や利用すべき就労系障害福祉サービス、利用する事業所等を判断・決定するものではない
(厚生労働省「就労選択支援の実施について」令和7年3月31日)
アセスメントの結果に事業所名が書かれることがあっても、それは「参考情報に過ぎず」、事業所をあっせんするものではないとも書かれています。最後に選ぶのは本人で、サービスの利用を決める(支給決定する)のは市区町村です。
就労移行支援・A型・B型との違い
就労系のサービスは名前が似ているので、違いを表にまとめました。就労選択支援だけ期間が短く、目的が訓練や仕事ではなく「自分に合う働き方を確かめること」になっている点が大きな違いです。
| サービス | 目的 | 期間の目安 | お金の受け取り |
|---|---|---|---|
| 就労選択支援 | 自分に合う働き方を確かめる(アセスメント) | 原則1か月(最大2か月) | 作業で工賃が出ることもある |
| 就労移行支援 | 一般企業への就職に向けた訓練と就職活動 | 標準2年 | 給料はなし(作業をした場合に工賃が出ることもある) |
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結んで働く | 利用期間の上限なし | 給料 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約なしで自分のペースで働く | 利用期間の上限なし | 工賃 |
A型とB型の違いをもっと詳しく知りたい方は、就労継続支援A型とB型の違いにまとめています。1か月の中で、どこで何をするのかは、このあとの「1か月で何をする?」で順番に説明します。
受ける必要があるのは誰?いま原則必須なのは「新しくB型を使う人」
就労選択支援を原則として必ず受けるのは、2025年10月以降に新しくB型を使う人です。それ以外の人にとっては、いまのところ希望すれば使えるサービスです。
自分がどこに当てはまるかは、次の表で確かめられます。
| あなたの状況 | 2025年10月〜いま | 2027年4月〜(予定) |
|---|---|---|
| B型を新しく使いたい | 原則必須(例外あり) | 原則必須 |
| A型を新しく使いたい | 任意 | 原則必須になる予定 |
| 就労移行支援を新しく使いたい | 任意 | 任意 |
| 就労移行支援を2年を超えて延長したい | 任意 | 原則必須になる予定 |
| いまA型・B型・就労移行を使っていて更新する | 任意 | 任意 |
※2027年4月からの扱いは、まだ「予定」です。詳しくはこの章の最後で説明します。
B型でも受けなくてよい人
B型を新しく使う人でも、次のどれかに当てはまれば、就労選択支援を受けずにB型を利用できます。
- 50歳に達している人
- 障害基礎年金1級を受けている人
- 働いた経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇われることが難しくなった人
この3つは、以前からB型の利用条件として決まっていたものです。B型の利用条件そのものは、就労継続支援B型の利用条件で国の決まりに沿って詳しく説明しています。
近くに事業所がない・順番待ちのときは
就労選択支援の事業所は、始まったばかりでまだ多くありません。そこで通知では、次の2つの場合に限って、就労移行支援事業所などで働く力や希望の見立て(アセスメント)を受けてからB型を使うことを認めています。
- 近くに事業所がなく、一番近いところでも通うのが難しい場合
- 事業所が少なく、受けるまでに順番待ちが出る場合
何日待てば「順番待ち」と認められるかは、国の通知には書かれていません。お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で確かめてください。
2027年4月からは、A型と就労移行の延長にも広がる予定
国は、2027年4月から、A型を新しく使う人と、就労移行支援を標準の2年を超えて使う人も、原則として就労選択支援を受ける形にする予定だとしています。国の資料には「支援体制の整備状況を踏まえつつ」とあり、事業所の数がどこまで増えるかを見ながら進める、ということです。
2026年9月の国の検討会では、予定どおり進める案が示されました。就労移行支援については、使い始めて1年6か月ごろに延長が必要かを考え、必要なら就労選択支援を受ける、という進め方が案として出ています。細かい扱いはこれから決まるので、今後変わる可能性があります。
いまA型を考えている人は、現時点では受けなくても申し込めます。A型は、ハローワークの紹介で決まることもあります。国の通知では、いまのところハローワークが就労選択支援を通さずにA型の求人を紹介することもある、とされています。
1か月で何をする?流れは4ステップ
就労選択支援の期間は原則1か月です。国の資料にある標準的な1か月の流れを、利用する側から見ると、次の4つになります。
- 説明と面談:サービスの内容や、実際に働いている人の例、働くための福祉サービスの種類について説明を受けます。本人と家族それぞれと面談し、障害の状態や働く希望を聞き取ります
- 作業を試す:模擬的な作業、パソコンの入力作業、体を動かす作業などを実際にやってみます。集中が続く時間や、得意な作業、疲れやすい場面などを支援員が一緒に確かめます
- ケース会議:本人と、相談支援専門員、学校、医療、就労支援の担当者など、必要な人が集まって話し合います。誰を呼ぶかは一人ひとりの状況で決めます
- 結果を本人と一緒にまとめる:強みや特性、希望する働き方に進むための課題を、本人と一緒に書面にまとめます。結果は本人と相談支援専門員に渡されます。市区町村にも共有するのが望ましいとされています。必要に応じて、次に使う事業所などとの連絡も、就労選択支援の事業所が行います
作業を試す期間について、特別支援学校の生徒向けの国の通知では、2週間程度が目安とされ、状況によっては5日間程度に短くすることもできるとされています。1か月のあいだずっと作業を続けるわけではなく、週に何日・1日何時間通うかは、事業所と相談して決めます。作業を試す場面は、本人の様子を直接見ることが大切なので、事業所などに通う対面が基本です。ケース会議や結果の説明は、必要に応じてオンラインでもよいとされています。
期間は原則1か月。2か月になるのは2つの場合だけ
1か月を超えて、2か月まで使えるのは、次のどちらかに当てはまる場合だけです。
- 自分の力を低く見すぎたり高く見すぎたりしていて、1か月以上かけて作業を体験しながら自分を知る必要がある場合
- 集中力や体力、体調や気持ちの安定に課題があり、進路を決めるのに1か月以上の観察が必要な場合
こうした事情が最初から分かっていれば、はじめから期間を2か月として始めることもあります。その場合も、2か月より先には延ばせません。
通う日数と、ほかのサービスとの同じ日の利用
1か月に通える日数は、就労移行支援などと同じで、原則としてその月の日数から8日を引いた日数までです。30日の月なら、原則として22日が上限になります。22日はあくまで上限で、実際に通う日数は事業所と相談して決めます。
日数とあわせて知っておきたいのが、ほかのサービスとの同じ日の利用です。生活介護や就労移行支援、A型・B型などの日中のサービスも、事業所どうしで調整がつけば、同じ日に両方を使えます。2025年9月に国の決まりが変わり、できるようになりました。たとえば、午前はB型、午後は就労選択支援という使い方です。放課後等デイサービスは、こうした調整なしで同じ日に使えます。特別支援学校の生徒が日中は就労選択支援、夕方は放課後等デイサービス、という使い方もできます。
作業で工賃が出ることもある
作業の中で工賃が出た場合は、受け取ることができます。ただし、工賃を得ることが目的のサービスではないので、出るかどうかは事業所によって違います。
費用はいくら?ほかの障害福祉サービスと同じ月額上限
就労選択支援のサービス費の自己負担は、ほかの障害福祉サービスと同じく、世帯の所得に応じた月ごとの上限があり、それ以上はかかりません。18歳以上の人の上限は次のとおりです。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 月額の上限 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税が非課税の世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税が課税で、所得割16万円未満の世帯(※) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※20歳以上で入所施設を使っている人と、グループホームを使っている人は、一般1ではなく一般2になります。
18歳以上の人の場合、ここでいう世帯は本人と配偶者だけです。親と同居していても、親の収入は含めません(施設に入所している18歳・19歳の人は扱いが違います)。なお、上限があるのはサービス費の自己負担で、食事を頼んだ場合の食費などの実費は別にかかります。
国の資料を見る限り、就労選択支援だけの特別な料金や無料の扱いはなく、ほかのサービスと同じ仕組みです。自分の区分がどれになるかは、受給者証を申し込むときに市区町村で決まります。受給者証の申し込み方は受給者証の取り方で詳しく説明しています。
どこで受けられる?全国の事業所数と探し方
その月に実際に利用者がいた事業所の数で見ると、始まった2025年10月の104か所から12月には約3倍の297か所になり、2026年4月には452か所になりました。それでも、地域による差は大きいです。
国が公表している数字は次のとおりです。
| 月 | 事業所数 | 利用者数 |
|---|---|---|
| 2025年10月 | 104か所 | 227人 |
| 2025年11月 | 220か所 | 487人 |
| 2025年12月 | 297か所 | 614人 |
| 2026年4月 | 452か所 | 1,033人 |
2025年12月の297か所を都道府県別に見ると、多いのは福岡27か所、大阪26か所、愛知18か所、北海道17か所です。一方で、京都は0か所、福島・富山・滋賀・鳥取・佐賀は1か所ずつでした(その月に利用者がいた事業所の数なので、事業所が1つもないという意味ではありません)。
同じ数え方で比べると、2026年4月の就労移行支援は2,724か所あり、就労選択支援はその6分の1ほどです。
当サイトで数えると:約7割は就労移行支援も運営する法人の事業所
国の情報公表システム(WAM NET)が2026年9月版として公開しているデータを当サイトで数えると、就労選択支援として登録している事業所は全国で674か所でした。
※この記事には、事業所の数が3通り出てきます。国が指定した事業所は965か所(2026年6月末)、情報公表システムに登録がある事業所は674か所(当サイト調べ・9月版)、実際に利用者がいた事業所は452か所(2026年4月)です。数え方と時点が違うので、並べて比べることはできません。
674か所のうち471か所(69.9%)は、就労移行支援も運営している法人の事業所でした。就労選択支援を始めるには、過去3年以内に3人以上を一般企業への就職につなげた実績などが求められます。当サイトで数えると、就労移行支援をやっている法人が中心になって始めているようです。
近くの事業所を探すときは、厚生労働省のホームページ「就労選択支援について」に、国が指定した事業所の一覧(2026年6月末時点、Excelファイル)が載っています。市区町村の窓口や相談支援専門員に聞くほか、地域の就労移行支援事業所に「就労選択支援もやっていますか」と聞くのも、問い合わせ先の1つです。
申し込みは市区町村の窓口か相談支援専門員から
就労選択支援も障害福祉サービスなので、使うには市区町村の支給決定が必要です。まずはお住まいの市区町村の障害福祉の窓口か、すでに相談している相談支援専門員に「就労選択支援を使いたい」と伝えます。厚生労働省の調査でも、実際に使った人は、相談支援専門員か市区町村の窓口を通して申し込んだ人が多くなっていました。
相談から通い始めるまでの全体の流れは、就労移行支援の手続きの流れも参考になります。
いま就労移行支援などを使っている人は、同じ法人の事業所では受けられない
すでに就労移行支援やA型・B型を使っている人が、受給者証の更新や事業所の変更を考えて就労選択支援を受ける場合、いま通っている事業所と同じ法人が運営する就労選択支援は、原則として使えません。近くに、別の法人が運営する就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がない場合だけ、例外が認められています。
ほかにも、利用した人の進み先が同じ事業者に偏った就労選択支援事業所は、報酬が減らされる決まりがあります(サービスの種類ごとに見て8割を超えた場合)。利用者を自分の法人に囲い込みにくい仕組みになっています。
受けた後はどうなる?結果の使われ方
アセスメントの結果は本人と相談支援専門員に渡され、市区町村にも共有されれば、サービスの利用を決めるときの参考にされます。一般企業で働きたいと本人が決めた場合は、ハローワークにつなぐことが基本とされ、ハローワークもその結果を参考に職業相談を進めます。
結果は本人の同意があれば、障害者就業・生活支援センターなど、次に関わる機関にも共有されます。本人や家族が同じことを何度も説明する手間を減らすためです。
厚生労働省が2026年1月に就労選択支援の事業所に行った調査(答えたのは41か所)では、利用前に「B型だけを希望」していた人が多く、利用後の進路もB型が中心でした。始まったばかりで人数が少ないので、この先も同じかどうかはまだ分かりません。
私たちとしては、B型を考えている人ほど、この1か月を「B型に入るための待ち時間」と考えず、就労移行支援やA型も含めて一度比べてみる機会として使ってほしいと考えています。1か月かけて自分の得意な作業や疲れやすい場面が分かっていれば、どのサービスに進むにしても、事業所を見学するときに何を確かめればいいかがはっきりします。
よくある質問
まとめ
就労選択支援は、働き方を決める前に、1か月ほど作業と面談を重ねて、本人と一緒に自分に合う働き方を考えるサービスです。
- いま原則必須なのは、2025年10月以降に新しくB型を使い始める人だけです。50歳以上の人、障害基礎年金1級の人、働いた経験があり年齢や体力の面で雇われるのが難しくなった人は例外です
- A型と就労移行支援は、いまは任意です。2027年4月からは、A型を新しく使う人と、就労移行支援を2年を超えて使う人も対象になる予定です
- 自己負担は月ごとの上限の仕組みで、非課税の世帯は0円です
- 実際に利用者がいた事業所は2026年4月時点で452か所と少なく、地域差があります。国の指定事業所一覧や、市区町村の窓口で探せます
制度が新しいうちは、窓口の担当者によって説明の細かさに差が出ることがあります。分からないことがあれば、窓口や相談支援専門員に「これは何のための手続きですか」と遠慮なく聞いてください。
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出典・一次情報
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この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。

