この記事は、サービス管理責任者の市原 早映が監修しています。
就労移行支援をはじめとする障害福祉サービスを利用するには、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。本記事では、はじめての方にも分かりやすいように、受給者証の“基本(何に使う?)”“もらえる条件”“有効期間と更新”“必要書類と手続き”を、一次情報に基づいてコンパクトに整理します。自治体の運用で細部は異なるため、最終確認はお住まいの窓口でお願いします。
目次
まずは要点(ここだけ読めばOK)
・受給者証は「障害福祉サービスを公費で使えること」を証明するものです。
・中面に「サービスの種類・量・支給決定期間」などが記載されます(市区町村が決定)。
・自己負担は原則1割ですが、「負担上限月額」の適用で多くの世帯が実質0円〜低額になります。
・期間はサービスや状況に応じて決まります(就労移行支援は標準24か月、受給者証の“支給決定期間”は自治体が設定・更新可)。
受給者証の基礎知識
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何に使う? —— サービス利用の“通行証”です
すぐ解説
受給者証には、利用できるサービスの種類・内容・量・支給決定期間などが記載され、事業所の契約や利用時に提示します(厚労省 事務処理要領の様式例に「受給者証(例)」あり)。 -
対象は? —— 市区町村が個別に“支給決定”します
すぐ解説
障害福祉サービスは、障害支援区分・医師意見書・生活状況などを踏まえ、市区町村が個別に支給決定します。判定は一次判定(コンピュータ)→二次判定(審査会)というプロセスです。 -
期間は? —— サービスや状況に応じて設定・更新できます
すぐ解説
サービスには期限のあるもの/ないものがあり、有期限でも必要に応じて更新(延長)が一定程度可能です。就労移行支援は標準24か月の枠組みを前提に計画します。 -
費用は? —— 原則1割負担+負担上限月額
すぐ解説
自己負担は原則1割ですが、世帯の収入区分ごとに定められた「負担上限月額」が適用され、ひと月の上限を超えての負担は生じません(生活保護・低所得は0円)。
申請〜交付の流れ
STEP | やること | ポイント |
---|---|---|
1 相談 | 障害福祉課/特定相談支援に連絡 | 利用希望、通所日数、在宅可否など条件を共有 |
2 書類 | 医師意見書、サービス等利用計画(案)、本人確認 等 | 様式・要否は自治体指定。早めの予約・準備がコツ |
3 申請 | 市区町村の指定様式で提出 | 必要に応じ「計画(案)」の添付。窓口で不備確認 |
4 判定 | 一次(コンピュータ)→二次(審査会) | 支援区分・サービス量・期間が決まる |
5 交付 | 受給者証の交付/契約・利用開始 | 記載内容(種類・量・期間)を事業所で確認 |
必要書類(まずはこの6点)
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支給申請書(自治体様式)
すぐ解説
厚労省の事務処理要領に「様式第1号 支給申請書(例)」が示されています。自治体の公式サイトから最新様式を取得してください。 -
医師の意見書(または診断書)
すぐ解説
支援の必要性や配慮事項を確認するために用います。受診予約とあわせて、自治体の様式や依頼文を医療機関に共有するとスムーズです。 -
サービス等利用計画(案)※自治体で要否あり
すぐ解説
特定相談支援(計画相談)で作成支援を受けられます。モニタリング期間や目標も計画に記載し、市区町村の審査材料になります。 -
本人確認書類・個人番号
すぐ解説
運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど。世帯状況の確認に必要です。 -
所得・課税状況の確認書類
すぐ解説
自己負担の「負担上限月額」を判定する根拠になります。自治体から案内される必要書類に従ってご準備ください。 -
障害者手帳(該当者)
すぐ解説
手帳の有無や種別は、支給決定の判断材料の一つです。詳細は自治体の案内に従ってください。
有効期間と更新(ここを押さえる)
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支給決定期間は「サービス・状況に応じて」設定
すぐ解説
障害福祉サービスには期限のあるもの/ないものがあり、有期限サービスは必要に応じて更新(延長)が可能です。受給者証には決定期間が記載され、更新時期は自治体から通知されることがあります。 -
就労移行支援は標準24か月(通算)
すぐ解説
利用者ごとに標準期間(24か月)の範囲で計画します。再利用時は通算管理となるのが一般的です(自治体判断)。 -
再交付・変更が必要なとき
すぐ解説
「受給者証再交付申請書(様式例)」が整備されています。紛失・破損・記載変更などは、速やかに窓口にご相談ください。
自己負担(上限月額の目安)
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限(月額) |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 課税(所得割16万円未満)※通所 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※厚生労働省「障害者の利用者負担」より。入所・GH等は取り扱いが異なります。
よくある質問(FAQ)
受給者証がなくても見学・体験はできますか?
できます。多くの事業所で交付前の見学・体験に対応しています。体験内容を申請書や計画(案)に反映しましょう。
支給決定の“期間”は誰が決めますか?
市区町村が、支援区分・医師意見書・計画(案)などを踏まえて個別に決定します。必要に応じて更新(延長)も可能です。
紛失した場合はどうなりますか?
「受給者証再交付申請書」の提出で再交付の手続きができます。窓口の案内に従ってください。
出典(一次情報)と更新履歴
- 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等の事務処理要領」(様式:受給者証・再交付申請 等)
- 厚生労働省「障害福祉サービスについて」(制度の概要・期間と更新)
- 厚生労働省「認定調査員マニュアル」(一次判定・二次判定の流れ)
- 厚生労働省「障害者の利用者負担(負担上限月額)」
・最終更新日:2025年8月13日

この記事の監修者
市原 早映(いちはら さえ)
2017年より就労移行支援・定着支援の現場で支援に従事。就労移行の立ち上げにも携わり、現在は定着支援に従事しながら就労移行支援もサポートしています。